足場のウインチとは|効率化の目安は5階建て以上!基本と導入手順

「足場のウインチってどういうもの?」
「うちの足場現場でもウインチを入れたら便利になる?」

体力的な負担が大きく人手不足も進む足場作業において、作業効率を高めるためにウインチの導入を検討する方も多いでしょう。

足場で使うウインチとは、足場資材の荷揚げや荷降ろしを担い、足場作業を「楽に・効率的に・安全に」進めるための機械です。

足場のウインチは、基本的には高層の足場を組む際に力を発揮します。高い足場になるほど負担が増す資材の揚げ降ろしをウインチがスピーディに行ってくれるため、人件費の削減や作業時間の短縮にもつながるからです。

一方で、ウインチの適切な取り扱い方や導入手順を知らないまま使い始めてしまうのは危険です。ウインチによる効率アップが図れないだけでなく、荷物の落下や資材の損傷などを引き起こしてしまう恐れもあるからです。

ウインチによる事故は、大切な従業員を危険にさらしてしまったり、会社の信用を損ねたりといったリスクを招くため、ウインチの正しい知識を身に付けたうえで導入することが大切です。

そこでこの記事では、ウインチの基本知識や、導入が効果的な足場現場の特徴をお伝えしたうえで、ウインチをスムーズに導入するための手順を紹介していきます

最後まで読んでいただくと、あなたの現場にウインチを入れたほうがよいか判断でき、ウインチの導入に向けた道筋が見えてくるでしょう。

ぜひこの記事を活用して、あなたの現場に合ったウインチの導入を進めていきましょう。

目次

1. 足場で使うウインチとは

足場で使うウインチとは

足場で使われるウインチとは、足場部材や作業用具の荷揚げを、動力によって回転するドラムと滑車、ワイヤーロープによってサポートする機械です。

ウインチとは巻上げ機の一種であり、以下のような仕組みによって重量物の運搬や移動を実現します。

【ウインチで荷物を運搬する仕組み】
  1. ワイヤーロープが固定された「円筒形の巻き胴=ドラム」を、回転ハンドルや電気などの動力によって回転させる
  2. 回転によって、ワイヤーロープがドラムに巻き付いていく
  3. ワイヤーロープの先端に取り付けた重量物が、ドラムの回転によって移動する(吊り下げ吊り上げの上下移動、けん引・横引きの水平移動)

(出典:厚生労働省「屋根ふき業務 安全衛生のポイント」

足場で使われるウインチの場合、地上と作業現場となる高所との上下間における荷物の移動を効率化します。

足場現場でウインチを使うときは、ワイヤーロープを通す滑車とセットで使われることが一般的です。
滑車を高所に取り付けることで、ウインチ本体を荷揚げしたい高所まで運ばなくても、荷物の吊り上げが可能になります。

足場現場でウインチを使うときは、ワイヤーロープを通す滑車とセットで使われることが一般的です。
滑車を高所に取り付けることで、ウインチ本体を荷揚げしたい高所まで運ばなくても、荷物の吊り上げが可能になります。

足場で使われるウインチの価格は、本体のみで20万〜90万円ほどと幅が広いです。

なかでも、足場部材の荷揚げ専用に設計されたウインチは、足場現場にとって使いやすい性能や工夫、安全装置が備えられています。そのため、上部に取り付けるための滑車付きブラケットアームをセットにすると、100万円を超える製品もあります。

【足場用ウインチの特徴】
  • 足場に取り付けやすい設置方法(パイプに取り付ける側面設置やウインチベース付など)
  • 巻き上げ速度が速く、「低速/高速」切り替えが可能
  • ダブルリモコンによって無線2か所操作を実現

このように、ウインチの導入には一定の初期コストがかかりますが、足場作業の効率化が進み、作業員の負担軽減や人的コストの削減が狙えます。

ただし、「どのような現場であってもウインチの導入がおすすめ!」とはいえません。

次章以降で、「ウインチの便利な点」や「ウインチの導入がおすすめの現場」について詳しく説明していきます。

ウインチとホイストはどう違う?
足場のウインチを検討する際には、「ホイスト」についても見聞きすることがあるかもしれません。ホイストはウインチと同様に、足場における資材の荷揚げに使われる機械です。ウインチと同じ仕組みで荷物を吊り上げる巻上げ機の一種ですが、以下のような違いがあります。

【ウインチとホイストの違い】


(画像出典:足場JAPAN「【新型】UP788 疾風ウィンチ 新品商品詳細」足場JAPAN「ベビーホイスト新品商品詳細」

※巻上げ機運転特別教育については「4-1. 皆でウインチの「特別教育」を受講しよう」で詳しく説明します。

2. 足場にウインチがあると便利になること

足場にウインチがあると便利になること

足場にウインチがあると、具体的には以下のような点において便利になります。

足場にウインチがあると便利になる3つのこと
  • 高所への資材の運搬が効率化される
  • 人件費を削減できる
  • 作業の安全性を高められる

ウインチを導入するとどのような点で効果を感じられるのか、詳しくみていきましょう。

2-1. 高所への資材の運搬が効率化される

足場にウインチがあれば、重たい足場部材や作業用具の荷揚げを「機械の力」によって効率的に進められます。

人の力だけで重量物や多数の資材を高所へ運ぶには、作業員に体力面での負担を強いることになり、多くの作業要員や時間も要します。

とくに足場が高くなるほど、人力で少しずつ資材を受け渡して荷揚げするよりも、ウインチでたくさんの資材をまとめて吊り上げたほうが、作業が「早く・楽に」進むのは明らかです。人力だけでの荷揚げは、暑さ寒さが厳しい時期にはさらに過酷さが増し、作業員にとってつらい作業となるでしょう。

とくに足場が高くなるほど、人力で少しずつ資材を受け渡して荷揚げするよりも、ウインチでたくさんの資材をまとめて吊り上げたほうが、作業が「早く・楽に」進むのは明らかです。人力だけでの荷揚げは、暑さ寒さが厳しい時期にはさらに過酷さが増し、作業員にとってつらい作業となるでしょう。

足場作業のなかでも「とくに体力が必要な資材の運搬」をウインチが担うことによって、作業員は資材の揚げ降ろしに体力を奪われることなく、足場の組み立てや本来の専門業務に専念できます。

2-2. 人件費を削減できる

ウインチを足場で活用することで、人的コストの削減も期待できます。

なぜなら、ウインチによる荷揚げは、人の力だけで行う手揚げに比べて少ない人員で対応できるからです。

手揚げの場合は、人の手を介して地上から高層部へ荷物を受け渡すため、荷揚げを中継するための人員を一定間隔で配置する必要があります。

たとえば、8段の足場を組む場合、手揚げであれば最低でも5人の作業員が必要です。足場が高くなるにつれて人員が数多く必要になり、自社だけで賄えない場合は、作業員の外注も検討しなければなりません。

一方、ウインチを使うのであれば、地上と最上層にだけ作業員を配置すればよいため、3人で作業を済ませることも可能です。

大規模な足場になるほど、一度に多くの資材を運べるウインチのほうが作業効率は高まります。必要な作業要員が減り、さらには作業時間の短縮にもつながるため、人件費のコストダウンが図れるでしょう。

2-3. 作業の安全性を高められる

足場作業においてウインチを正しく取り入れれば、荷揚げ・荷降ろし時の危険を軽減し、作業の安全性を高められます。

人力で荷物の揚げ降ろしをする場合、人間が作業する以上はミスが発生してしまう可能性がぬぐえません。

万が一高所での荷物の受け渡しがうまくいかなかったときには、最悪の場合には作業員や通行人を巻き込んだ死亡事故へとつながってしまう可能性もあります。

【高所での手渡しミスによる起こり得る事故例】
  • 足場資材を下から上に手渡すタイミングがずれてしまい、落としそうになった資材を掴もうとした作業員が足場から転落した
  • 足場の解体作業時、最上層から順にパイプを手渡す際に受け取りミスが起こり、落下したパイプが通行人に直撃した

人力での荷物の揚げ降ろし作業では、作業員は常に気を張っていなければならないため、メンタル面での消耗も大きいでしょう。

ウインチを活用した場合、正しい取り扱い方を守っていれば、荷揚げ・荷降ろしを正確に行えます。
足場上に立つ作業員の人数を減らせるため、リスクが大きいとされる「上下作業(上層と下層で同時に作業を行うこと)」も回避しやすくなります。

3. こんな現場があるなら足場へのウインチの導入がおすすめ!

こんな現場があるなら足場へのウインチの導入がおすすめ!

足場にウインチを導入すると、さまざまな効果やメリットを得られることがわかりました。
ただし現場の状況によっては、期待していたウインチの効果を見込めないケースもあります。

そこで、どのような足場現場にウインチの導入がおすすめなのかを具体的な3つのシーンにまとめました。

こんな現場にはウインチの導入がおすすめ
  • 8段(約13.8~15.2m)以上の足場を組む場合
  • 8段(約13.8~15.2m)以下の足場で人数の確保ができない場合
  • 他の荷揚げ装置が利用できない場所で足場を組む場合

自社の現場にウインチを導入するかの判断材料としてチェックしていきましょう。

3-1. 8段(約13.8~15.2m)以上の足場を組む場合

まず、ウインチの導入を検討する足場の高さとしては、「8段以上の足場」、つまりマンションでいえば「5階建て」程度を目安にするとよいでしょう。

一定の高さ以上の足場を組むには、資材の揚げ降ろし作業の負担が増大します。対応に必要な人員数や作業員への身体的負担が増えるほか、高所作業によるリスクも高まるため、ウインチによるサポートが非常に役立ちます。

一方で、ウインチで荷揚げするには、荷物をワイヤーで固定したり外したりする手間や、上下させるための時間が必要です。そのため低層の足場作業においては、ウインチよりも手揚げのほうが作業時間は短く済むことがほとんどです。

8段ほどの足場を組む予定がすでにある場合や、今後に向けて中高層建物の案件も受注していきたい場合は、ぜひウインチの導入を前向きに進めていきましょう。

3-2. 8段(約13.8~15.2m)以下の足場で人数の確保ができない場合

一方で8段以下の足場であっても、手揚げするのに必要な人員の確保ができない場合はウインチの導入が有効です。

ウインチを活用することで、手揚げよりも作業スピードは落ちるものの、より少人数での作業が可能になるケースがあります。

たとえば、8段の足場を地上から最上層まで人力だけで荷揚げするには、作業員が5人は必要です。資材を手渡しで揚げていくために、最低でも1、3、5、7、8段目に各1人の作業員を配置しなければなりません。

ウインチを活用することで、手揚げよりも作業スピードは落ちるものの、より少人数での作業が可能になるケースがあります。

たとえば、8段の足場を地上から最上層まで人力だけで荷揚げするには、作業員が5人は必要です。資材を手渡しで揚げていくために、最低でも1、3、5、7、8段目に各1人の作業員を配置しなければなりません。

一方、8段の足場をウインチの荷揚げで組む場合は、「地上に1人+上部に2人=合計3人」の作業員での対応が可能です

一方、8段の足場をウインチの荷揚げで組む場合は、「地上に1人+上部に2人=合計3人」の作業員での対応が可能です

ウインチの導入により手揚げよりも少ない人数で足場を完成させられるため、人材不足への対応策にもなります。

「中層階の案件でも外注を使わずに自社の作業員だけで対応したい」
「1現場あたりの人数を減らして複数の案件をこなしていきたい」

といったニーズのある現場には、ウインチが力を発揮するでしょう。

3-3. 他の荷揚げ装置が利用できない場所で足場を組む場合

足場を組む際には、クレーン車や、トラックにクレーンが搭載されたユニック車などが用いられるケースもあります。しかし現場の環境によっては、クレーン車やユニック車のように大型な荷揚げ装置では、作業場のすぐ横まで寄せられないこともあるでしょう。

そのような場合に、解決策の1つとなるのがウインチです。

足場用のウインチは、持ち運びを前提に設計されており、ウインチ本体も比較的コンパクトなものが多いです。設置や荷揚げに広いスペースを要しないため、狭小地での作業でも導入しやすいでしょう。

足場で使われるウインチ本体は、以下のような大きさのものが主流です。

  • 長さ:30cm〜55cmほど
  • 幅:30cm〜40cmほど
  • 高さ:25cm〜35cmほど

重量も30㎏前後のものが多く、作業員2人で対応すれば人力での持ち運びも可能です。

「狭小地でユニック車を横付けするスペースがない」「現場に入る道が狭くクレーン車が入りにくい」といった場合には、ウインチによる荷揚げを検討しましょう。

4. 足場でウインチを導入する手順

足場でウインチを導入する手順

ここまで読み進めて、「自社の現場にはウインチが合いそうだ」と導入に前向きな方もいらっしゃるでしょう。そこで続いては、足場にウインチを導入するときの実際の手順をみていきます。

自社に合ったウインチを安全に導入するには、事前準備のポイントや最適なウインチの選び方などを理解しておく必要があります。

足場でウインチを導入する手順
  • 皆でウインチの「特別教育」を受講しよう
  • 正しい取り扱い方や使用ルールを広めよう
  • あなたの現場で最適なウインチを選ぼう

あなたの現場にウインチをスムーズに導入するために、しっかりチェックしておきましょう。

4-1.  皆でウインチの「特別教育」を受講しよう

新たにウインチを業務に取り入れるには、ウインチを操作する従業員が「巻上げ機(ウインチ)運転特別教育」を受講しておかなければなりません。

ウインチは、正しく取り扱わなければ労働災害を引き起こす恐れがある危険な装置です。

労働安全衛生法および労働安全衛生規則では、「巻上げ機の運転の業務」を危険または有害な業務と定めています。そして、事業者に対して、巻上げ機の運転に従事する労働者への特別教育の実施を義務付けています。(参考:e-Gov法令検索「労働安全衛生法第五十九条第三項」e-Gov法令検索「労働安全衛生規則第三十六条第十一号」

巻上げ機(ウインチ)運転特別教育を実施するには、都道府県労働局長の登録を受けた教習機関が提供する講習を受講するのが一般的です。

【登録教習機関が提供する巻上げ機(ウインチ)運転特別教育の詳細】

対象業務
動力により駆動される巻上げ機の操作
(除外されるもの:電動ホイスト、エアーホイスト、ゴンドラ)
講習内容
学科教育(巻上げ機の基礎知識、運転方法など):6時間以上
実技教育(運転、荷掛け、合図など):4時間以上
受講資格
満18歳以上
受講料の目安
学科+実技のセット:約16,000円~22,000円(税込)
学科のみ(実技は各事業所で実施が必要):約9,000円~12,000円(税込)
※教習機関によって異なる
※2025年5月現在の価格を参考
受講方法
・対面講習
・Web講習
・出張講習 など
※教習機関によって異なる

対面講習で学科と実技をセットで受講する場合、1、2日の講習によって修了証が発行されます。

専門家による実技教育が受けられるため安心感がありますが、講習スケジュールが事前に決まっているため自社の予定に合わない可能性もあります。地域によっては定期開催されていない場合もあるため注意が必要です。

Web講習であれば、学科教育は動画視聴で各自進められ、教習機関によっては24時間いつでも受講できるものもあります。申込後すぐに学習を進められるため、「急いでウインチを導入したい」という場合にも対応しやすいでしょう。

ただし、実技教育は「実技実施責任者(特別教育修了者や実務経験者)」のもと各事業所で実施しなければなりません。

ウインチを導入したい時期が決まっている場合は、「それに間に合う講習が開催されているのか」「実技教育をどのように実施するのか」を早めに検討しておきましょう。

4-2. 正しい取り扱い方や使用ルールを広めよう

初めてウインチを導入する場合、「事故やトラブルが起こしてしまわないか」と不安に感じる方も多いでしょう。ウインチによる労働災害を防ぐには、ウインチの正しい取り扱い方と使用ルールを、現場に出る全員が頭に入れておくことが大切です。

ウインチの取扱者だけでなく、現場の作業者全員がルールを守ることで、「知らず知らずのうちに危ない行動を取っていてヒヤッとした」といった無意識による危険行為を避けられます。身の安全を自分自身で守れるようになり、ウインチによる事故やトラブルを防止できます。

ウインチを現場に取り入れるときは、以下のようなルールや知識を現場全体に広めておきましょう。

【ウインチ操作時のルール】

作業現場にいる全員
  • 吊り荷の下に入らない
  • 荷物が落下する恐れがある範囲を関係者以外立ち入り禁止にする
操作する人
  • 人の頭上を荷物が通過しないようにする
  • 荷物を受け取りやすいようにスピードを調整する
  • 耐重量や連続使用時間を守る(過度に使用するとモーターに負荷がかかり故障の原因になる)
  • 作業中の声掛けを徹底する
荷物を受ける人
  • 高所作業時は安全帯を付ける
  • 荷物に手をかけた状態でウインチ操作を指示しない
  • 作業中の声掛けを徹底する

【ワイヤーの取り扱い】

  • キンク、断線、型崩れなどがないか使用前にチェックする
キンク、断線、型崩れなどがないか使用前にチェックする
出典:厚生労働省 あんぜんプロジェクト「ワイヤーロープ(使用禁止基準)」
  • ワイヤーロープの損傷の原因となる「乱巻き」を起こさないようにする
乱巻きとは
ワイヤーロープがウインチドラムに順序良く巻き取られていない状態

乱巻きを防ぐには以下のポイントを押さえておきましょう。

乱巻きを防ぐポイント
  • ドラムの1列目をきつく整列巻きにする
  • ワイヤーロープを上下する際は常にテンションをかけておく
  • 適切なフリートアングルを守る=ドラム幅の15倍以上の位置に滑車をセットする
    (※フリートアングルは下図の角度θを指し、溝無しドラムの場合はフリートアングルが2°以内になるように設置する。ウインチと滑車は垂直に配置する。)

【荷物の固定】

  • 重心を考慮して確実に固定する
  • 必ず「地切り」して吊り荷が安定しているか確認する
地切りとは
ワイヤーに固定した荷物を地面から数センチ吊り上げて一旦停止し、傾き・荷崩れ・吊り荷の落下などが発生しないか安全確認すること
  • 荷揚げ用の吊り袋やつり網を活用すると、荷物をまとめやすく安全性が高まる
荷揚げ用の吊り袋やつり網を活用すると、荷物をまとめやすく安全性が高まる
出典:足場JAPAN「リフトバック新品商品詳細」

ほかにも、各ウインチや作業現場の状況によっても注意すべきルールや取り扱い方が異なる場合もあります。

リスクを防止する適切な措置を実施したうえで、現場に出る全員にルールを覚えてもらうための指導や、定期的な教育・研修を取り入れていきましょう。

4-3. あなたの現場で最適なウインチを選ぼう

足場現場にウインチを取り入れて作業効率をアップさせるには、あなたの現場に適したウインチを選ぶことが大切です。

ウインチの能力や搭載機能が、現場の環境や荷揚げしたい資材、ウインチに求めるニーズに合わないものであれば、期待していた導入効果を得られないかもしれません。

まずは「ウインチを使ってどのようなことをしたいのか」「どのようなウインチが理想的なのか」といった点を整理しておきましょう。

ウインチを選ぶ際に整理しておきたいチェックポイント
  • 何kgの荷物まで吊り上げたいのか
  • 何メートルの高さまで使いたいのか
  • 巻き取り速度を重視するのか
  • 安全性や設置方法、サイズ、リモコン機能などにこだわりや条件はあるか

また、どのような能力・機能をもつウインチが足場現場に適しているのかを知るために、足場用ウインチとして市販されている主な製品のスペックの目安を以下にまとめました。

【主な足場用ウインチのスペックの目安】

ウインチの能力
耐荷重
100~150kgほど
対応できる高さ
約2.5m~50mほど
(※最大巻取30~120mほど)
巻取り速度
高速:26〜44m/毎分
低速:8.5~15m/毎分
定格時間
5分~30分ほど
ウインチの仕様
動力・電源
電動 AC100V
安全装置
  • 非常停止ボタン
  • 過巻防止スリップ機能
  • 停電や故障時に便利な手動降下機能
  • 漏電ブレーカー など

設置方法
  • 足場のパイプに直接取り付けが可能(側面設置、下面設置)
  • 簡単に設置できるウインチベース(単管パイプに取り付け可能) など
リモコン
  • 有線
  • 無線
  • 上下二か所での操作が可能なダブルリモコン
その他静音性、ラッチロックフックやスイベルフックなど
オプション
ブラケットアーム
滑車のついたアームを吊り上げたい場所の上部に取り付けることで、ウインチ本体を上部に持ち上げることなく荷物を安定して吊り上げられる

2025年5月現在の情報をもとに作成
※記載した能力や仕様は、すべての足場用ウインチ製品に備わっているものではなく、製品によって装備が異なります。

足場用ウインチは、本体が持ち運びできるサイズ・重量であり、足場に取り付けやすい設置方法や2か所で操作できるダブルリモコンを備えた製品が多いのが特徴です。足場での活用を想定して設計されているため、初めて足場にウインチを取り入れるときでも使い勝手がよいでしょう。

足場用以外のウインチでも、足場作業に使いやすい製品もあるため、自社のニーズを満たすものを探していきましょう。

5. 過酷な現場の声から生まれた「疾風ウインチ」なら安全と効率化を実現!

過酷な現場の声から生まれた「疾風ウインチ」なら安全と効率化を実現!
出典:足場JAPAN「お知らせ一覧|2024年1月 新型「疾風ウインチ」UP788販売開始!」

ここまでの説明を踏まえて、足場用のウインチの導入を前向きに検討されている方におすすめなのが、足場業界の過酷な現場の声に応える機能を備えた「疾風(はやて)ウインチ」です。

高速時で「35m/毎分」のハイスピードな巻上げ速度と、130kgまで巻上げ可能なパワフルなモーターを搭載しており、15階建てでもスムーズな荷揚げを実現します。

本章では、疾風ウインチのつよみを2つ、ご紹介していきます。

5-1. 疾風ウインチのつよみ1|安全装置が充実

疾風ウインチには充実した安全装置が備わっているため、吊り荷やワイヤーロープ、ウインチ本体の損傷・故障の回避に役立ちます。

【過巻防止スリップ機能】

疾風ウインチの過巻防止スリップ機能は、ワイヤーロープが過度に巻き取られて負荷荷重を感知すると、ドラムの巻取りがスリップし、これ以上の過巻をストップする機能です。

通常のウインチでは、過巻が発生すると、吊り荷の落下やワイヤーの切断、ウインチの故障などのリスクにつながるため、操作時には十分注意しなければなりません。

疾風ウインチでは「吊り荷が引っかかったまま巻揚げ続けた」「耐荷重以上の吊り荷を吊り上げた」といった場合にも過巻防止スリップ機能が働き、事故を未然に防ぎます。

現場の安全性向上につながる過巻防止スリップ機能は、独自開発による特許技術を使っているため、疾風ウインチならではの安全設計です。

【緊急停止機能・手動降下機能】

疾風ウインチのリモコンには、異常を感じたらすぐに緊急停止する停止ボタンが備わっています。本体には、モーターのオーバーロードや漏電などを感知したら、電源を遮断する緊急停止ブレーカーも内蔵されています。

疾風ウインチのリモコンには、異常を感じたらすぐに緊急停止する停止ボタンが備わっています。本体には、モーターのオーバーロードや漏電などを感知したら、電源を遮断する緊急停止ブレーカーも内蔵されています。
出典:ユニパ―株式会社「足場ウインチ 高速 無線操作 疾風(はやて)ウインチ[UP788]」

また、停電や故障によって吊り上げ途中でウインチが動かなくなってしまった場合に役立つのが、手動降下機能です。

ボックスレンチを使っての手動降下ができるため、万が一のトラブル時にも安全に荷物を降ろせます。

また、停電や故障によって吊り上げ途中でウインチが動かなくなってしまった場合に役立つのが、手動降下機能です。

ボックスレンチを使っての手動降下ができるため、万が一のトラブル時にも安全に荷物を降ろせます。
(出典:ユニパ―株式会社「足場ウインチ 高速 無線操作 疾風(はやて)ウインチ[UP788]」

5-2. 疾風ウインチのつよみ2|介錯ロープでコントロールしやすい

疾風ウインチには、セットで使えるブラケットアームにも特色があります。

足場専用のブラケットアーム「シルバーユニアーム」は、介錯(かいしゃく)ロープガイドシステムを備えているため、吊り荷の回転を防ぎ、動きをコントロールしやすくなっています。

介錯ロープを引っ張ることで、足場に取り付ける防護棚(朝顔)や下屋根などの障害物をかわしながら吊り上げることが可能です。

【シルバーユニアームの介錯ロープガイドシステム】

シルバーユニアームの介錯ロープガイドシステム
出典:ユニパ―株式会社「足場ウインチ 高速 無線操作 疾風(はやて)ウインチ[UP788]」

介錯ロープ自体は上下しないため、通常のウインチ操作で起こりがちな「ロープを引っ張る手元が摩擦で熱くなる」「たぐり降ろしたロープが足元にたまる」といった現象が発生しません。

アームの旋回も軽く、吊元から離れた場所から荷物を吊り上げて横移動させることも可能です。

疾風ウインチとシルバーユニアームをセットで使うことで、より安全で効率的な荷揚げ作業を実現できます。

初めてのウインチ導入なら足場のプロに相談できる「足場JAPAN」を活用しよう!

(出典:足場JAPAN

「ウインチを導入したいけど、どこに相談したらよいかわからない」

そんなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、各種足場材や安全鋼板、作業用工具など、足場に関する幅広い商品を取り揃える「足場JAPAN」です。

足場JAPANを運営する私どもエルラインは、資材の販売だけでなく、とび・土木工事やリニューアル工事などの大規模案件も手掛ける施工会社です。

施工業者ならではの大量仕入れと豊富なノウハウを活かして、お客様に最適な資材をリーズナブルに提供しています。

施工現場の専門知識をもつ販売担当が、電話での相談や見積もりに対応しているため、初めてのウインチ導入でも不安や疑問を解決してから購入に踏み切れるでしょう。

足場JAPANでは、足場現場の荷揚げにつよみをもつ疾風ウインチの「現場でそのまま使える」一式セットをご用意しています。

【足場JAPANの疾風ウインチセット】



(出典:足場JAPAN「【新型】UP788 疾風ウィンチ 新品商品詳細」

足場JAPANでは、ウインチのほかホイストやリフトバックなども扱っています。
足場における荷揚げのお悩みを解決する手段を揃えていますので、作業効率を高めたい方はぜひお気軽にご相談ください。

足場JAPANに相談する



6. まとめ

最後に、この記事のまとめです。

足場で使うウインチとは、動力によって回転するドラムにワイヤーロープや滑車を組み合わせ、足場部材や作業用具などを荷揚げするための機械です。

足場にウインチを導入すると、現場によっては資材の運搬が効率化され、人件費の削減や安全性の向上につながります。

ウインチの導入によって便利さがアップする現場は以下のようなケースです。

  • 8段(約13.8~15.2m)以上の足場を組む場合
  • 8段(約13.8~15.2m)以下の足場で人数の確保ができない場合
  • 他の荷揚げ装置が利用できない場所で足場を組む場合

新たにウインチを導入するには、操作する従業員が「特別教育」を受講し、安全ルールを現場に広めておく必要があります。安全性や操作性に優れた「疾風ウインチ」をはじめ、自社の足場現場に合ったウインチの選定を進めていきましょう。

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