「次の現場には強力サポートが必要になりそうだが、正直よくわかっていない……」
はじめて強力サポートを使う場面に直面した時、現場の安全を確保するためにもしっかり知っておきたいところですよね。
強力サポートとは、大きな荷重がかかる構造物をしっかりと支えるために使われる高強度な仮設用支柱です。とくに階上解体工法による解体現場において欠かせないアイテムです。
建物の上から下へと解体作業を進める階上解体工法では、建物の最上部に重機を載せるため、通常の建物使用時には想定されないほどの大きな荷重が床面にかかります。
そのため、階下からスラブや梁を支える強力サポートを設置し、床面が崩落して重機が落下するという危険を防止しなければなりません。
ただし、強力サポートを導入する際は、ユーザー自身で製品の質を見極めなければなりません。
なぜなら、多くの仮設資材に定められている「仮設工業会の認定検査」が、強力サポートには義務付けられておらず、全国統一の性能基準がないからです。
そのため、安全な強力サポートを選ぶには、「信頼できる調達先選び」が重要になってきます。
そこで本記事では、現場の安全性を確保するために強力サポートを適切に取り入れたい方に向けて、以下の内容を解説します。
この記事を読むとわかること |
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最後までお読みいただくと、強力サポートの基礎知識にくわえて、安全に導入するためのポイントも理解できます。
あなたの現場に合った強力サポートを最適な方法で取り入れる道筋が明確になるため、自信をもって強力サポートの導入を推進していけるでしょう。
安全な現場づくりのためにぜひ最後まで読み進めてください。
1. 強力サポートは高い耐荷重で重量物を支える仮設用の支柱

強力サポートとは、解体工事や建築工事において、スラブや梁、仮設構造物といった重量物を仮支えするために使われる筒状の支柱です。
強力サポートは、以下のような特徴によって建設現場の安全性を確保する役割を果たします。
強力サポートの特徴
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強力サポートが活用される現場としては、以下のような例が挙げられます。
現場例 | 強力サポートの役割 |
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階上解体工法の現場 | 重機が作業する床面の落下を防ぐために、スラブや梁の仮支えとして使用 |
地下工事、上下水道工事など | 周囲の土砂が崩れないように支える山留や切梁の部材として使用 |
重量物運搬仮設 | 仮設通路下の支保として使用 |
なかでも、冒頭でもお伝えした通り、ビルやマンションを解体する工法の一つである階上解体工法では、強力サポートが欠かせません。階上解体工法では、重機を建物の屋上に上げて上から順に解体するため、重機の重量によって床面が崩落するのを防ぐための仮支えが必要だからです。
解体工事現場の安全性を確保するために、高い耐荷重と強度をもつ強力サポートを適切に活用していきましょう。
2. 強力サポートとパイプサポートの違い

強力サポートと似ている製品にパイプサポートがあります。
どちらも荷重を支える仮支え支柱であり、見た目は同じような形状ではあります。しかし、耐荷重が明確に異なるため、パイプサポートは強力サポートの代用にはならない点に注意が必要です。
具体的には、強力サポートはパイプサポートよりも太い支柱を備え、パイプサポートよりもなんと5倍以上の耐荷重があります。
そのため、パイプサポートは階上解体工法時の仮支えとしては耐荷重が足りないのです。
そのほか強力サポートとパイプサポートの違いを以下の表にまとめました。
【強力サポートとパイプサポートの違い】
強力サポート | 項目 | パイプサポート |
---|---|---|
10t〜15t | 耐荷重 | 2t |
40型(2,665mm~4,070mm)で58kg | 製品重量 | 9尺(2,620mm~3,940mm)で14.5kg |
一般的には1,250mm~6,070mm 継ぎ足し用の補助サポートあり |
対応可能な長さ | 一般的には320mm~3,940mm 継ぎ足し使用も可能 |
不要 | 仮設工業会の認定 | 必要 |
・階上解体工法による解体現場 ・地下工事 ・重量物運搬の仮設通路下支保 |
使われる現場例 | ・鉄筋コンクリートによる建築現場の型枠工事 |
同じ荷重を支える場合には、パイプサポートよりも強力サポートのほうが設置本数を減らせるため、効率的な作業動線を確保しやすくなります。
3. 強力サポートの基本スペック

続いて、強力サポートの長さや耐荷重といった基本スペックを説明します。
強力サポートには、材質の違いによる種類や長さに応じた型などがあり、複数のメーカーから多数の製品が提供されています。実際に商品を選定する際に迷わないように、まずは全体像を把握していきましょう。
強力サポートの材質は、強度・コストの面から有鉛亜鉛メッキを施したスチール製のものが主流です。
強力サポートの材質の違い
| |
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スチール製 | 耐食性や耐久性に優れており、重い。コストが安い。 |
アルミ合金製 |
軽いが、落下などの衝撃に弱い。コストは高い。
|
強力サポートは、使用可能な長さに応じて型が分類されています。
代表的な型の基本スペックを以下にまとめました。
【スチール製強力サポートの長さ・許容耐力・重量・底辺幅の目安】
調整長さ
(mm) |
許容耐力
(ton) |
重量
(kg) |
支柱の底辺幅
(mm) | |
---|---|---|---|---|
24型
| 1,815~2,470 | 15 | 40 | 160~200 |
32型
| 1,865~3,270 | 15 | 49 | |
40型
| 2,665~4,070 | 13 | 58 | |
50型
| 3,665~5,070 | 10 | 70 |
※製品によって若干の違いがあります
強力サポートは、対応できる長さが長くなるほど製品の重量は重くなりますが、許容耐力は小さくなります。
支柱の底辺幅は、製品によって多少異なる場合がありますが、同じ製品であれば長さにかかわらず一定です。
4. 強力サポートの設置手順

強力サポートの全体像を把握できたところで、次は実践的な内容として強力サポートの設置手順をみていきます。
設置の流れを知っておくと、強力サポートの取り扱いが初めての方でも、設置に対する不安を軽減したうえで導入を進められます。実際の現場でスムーズに設置できるように、イメージを掴んでおきましょう。
ここでは、階上解体工法を行う際に、スラブや梁を支える目的で強力サポートを設置する場合の手順を簡単に紹介します。
強力サポートの設置手順 |
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順に説明していきます。
4-1. 設置計画を立てる
強力サポートが重量物を確実に支えるためには、事前に現場の状況に合わせた設置計画を立てておくことが大切です。
スラブの強度や積載する重機の重量などをふまえて、強力サポートをどこに何本設置するのかを決めていかなければなりません。強力サポートの設置間隔を狭めて設置本数を増やすと、1本あたりにかかる荷重を分散でき、構造全体の安全性は高まっていきます。
また強力サポートは、解体するフロアの階下1層だけに設置するよりも、2層、3層とサポートを重ねることでさらに大きな荷重に対応しやすくなります。

そのため、階下何層までのサポート設置が適切なのかも、現場の状況に応じて判断しなければなりません。
4-2. 強力サポートを取り付ける
設置計画で定めた位置に強力サポートを取り付けていきます。
下柱に上柱を差し込み、設置場所の高さに応じてピン穴を合わせて、鎖ピンを差し込んでロックします。このとき差し込む2本のピンは直角に交差する(十文字になる)ように差し込み、抜け落ちないように奥まで確実に差し込みましょう。
その後、台板に設けられたクギ穴を使って、強力サポートを所定の位置に固定します。

さらに、長さを微調整できる調整ネジを回し、所定の高さまで上柱を上昇させれば設置完了です。
4-3. 補強する
所定の位置に取り付けた強力サポートには、必要に応じて水平つなぎ(根がらみ・首がらみ)などで補強を行います。
強力サポートにつなぎ材を固定するには、それぞれの強力サポート専用のクランプを使用します。

5. 強力サポートの費用目安

前章までで、強力サポートの特徴や設置手順といった基礎知識をご理解いただけたと思います。
一方、実際に強力サポートを導入しようとなると気になるのがコスト面ですよね。
強力サポートを購入するにはどれくらいの費用がかかるのか目安をみていきましょう。
【強力サポートの購入費用の目安】
型 | 販売価格の目安(税込) |
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24型 | 26,400円 |
32型 | 27,170円 |
40型 | 29,590円 |
50型 | 33,330円 |
参考:足場JAPAN「強力サポート新品商品詳細」、L-life(リアライフ)「36型強力サポート|強力サポート 価格部材別」
※上記2商品の2025年7月時点の税込価格を参考に平均を算出
強力サポートを取り扱う資材販売サイトやメーカーでは、価格がサイト上で明示されていないことがほとんどです。国内メーカー品となると、購入費用は上記の目安よりも高くなるケースが一般的です。
また、強力サポートの購入費用は、購入数量や配送エリアなどによって変動する可能性があります。
自社の現場に必要な分を揃えた場合の具体的なコストを知りたいときは、購入先に直接問い合わせるのが確実です。
6. 強力サポートの選び方2STEP

強力サポートの費用目安がわかったところで、強力サポートの選び方も確認しておきましょう。
自社の現場に合った強力サポートを導入するには、次の2ステップで強力サポートの種類やサイズを選定するのが基本です。
強力サポートの選び方2STEP |
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それぞれを順に詳しく説明します。
6-1. STEP1:スチール製かアルミ合金製か材質を選ぶ
強力サポートはスチール製のものが主流ですが、アルミ合金製のものもあります。
アルミ合金製はスチール製にくらべて軽量なのが特徴です。
【スチール製強力サポートとアルミ合金製強力サポートの比較表】
項目
| スチール製 | アルミ合金製 |
---|---|---|
施工性 | △ 重量があるため設置や運搬に人手や体力が必要 | ◎ 重量はスチール製の約3分の2 1人でも設置や運搬が可能 |
許容耐力 | ◎ | ◎ スチール製と同等の許容耐力を確保 |
強度・耐久性 | ◎ | ○ 強い衝撃を与えると破損する 可能性がある |
入手しやすさ | ◎ | ○ 選択肢が限られている |
コスト | ◎ | △ スチール製の3倍ほどの価格 |
どのような現場・会社に おすすめか | ・強度や耐久性が求められる大規模な工事現場 ・コストパフォーマンスを重視する会社 | ・小規模な工事現場 ・強力サポートの設置・解体を頻繁に繰り返す現場 ・施工性や作業効率を重視する会社 |
従来使われているスチール製の強力サポートは、高い強度とコストパフォーマンスの良さから多くの現場で選ばれていますが、重量があるため設置や運搬に手間がかかるのがデメリットです。
そのデメリットを解消するのがアルミ合金製の強力サポートです。コストが高いため予算に合わないケースも多くありますが、以下のような現場や会社であればコストに見合ったメリットを得られる可能性があるでしょう。
- 強力サポートの設置や解体を頻繁に繰り返す必要がある現場
- 作業員の数が限られているため少人数で効率よく作業を進めたい会社
工事の規模や今後の受注見通し、予算などをふまえて、自社の現場に最適な材質を判断しましょう。
6-2. STEP2:現場の高さにあった型を選ぶ
強力サポートは調整できる長さに応じて型が分類されています。
解体現場であれば、上階の床面を支えるのに必要な長さを測定し、それに対応できる型を選びましょう。
【強力サポートの選び方の一例】
解体する建物の例 | 使われることが多い強力サポートの型 |
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天井高の低いマンション | 32型 |
一般的な天井高のマンションやビル | 40型 |
とくに天井高の高いビル | 50型 |
解体現場での使用においては、40型がもっとも需要が高いです。
40型の調整長さは2,665mm~4,070mmであり、一般的な建物のフロア高に幅広く適合するでしょう。
7. 強力サポートの調達手段は2つ

ここまで強力サポートの選び方をみてきて、自社の現場に合う材質や型の見当がついてきたのではないでしょうか。そのうえで、実際に強力サポートを調達する手段をみていきましょう。
自社施工で強力サポートを設置する場合、強力サポ―トの調達手段としては以下2つが挙げられます。
強力サポートの調達手段2つ |
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購入とレンタルをそれぞれ比較して、どのような現場におすすめなのかを以下の表にまとめました。
【強力サポートの調達方法として購入・レンタルの比較表】
購入 | レンタル | |
---|---|---|
高頻度での使用 | ○ 頻繁に使う場合は割安 | × 高頻度・長期間の場合は割高 |
期間限定での使用 | × 使用頻度が少ない場合は購入費用を回収できない | ○ 使うときだけ費用が発生するため 効率的 |
保管・メンテナンス | × 保管場所の確保、メンテナンスに手間やコストがかかる | ○ 保管・メンテナンスは不要 |
必要なタイミングでの 使いやすさ | ○ 自社に常備できるため、好きなタイミングですぐに使える | × 必要なタイミングに借りられない可能性もある |
こんな会社におすすめ |
・今後も階上解体工法の解体工事を頻繁に行う予定がある |
・階上解体工法の解体工事は、今回限りの予定である |
強力サポートを購入する場合には、まとまった購入費用が必要ですが、今後頻繁に使う予定がある場合には長期的なコストを抑えられるでしょう。
一方、短期間で一時的に使用するだけであれば、レンタルのほうが購入よりもトータルコストを抑えることが可能です。
ただし、強力サポートに限らず仮設資材は全体的に高価であり、保管場所の確保やメンテナンスの手間も発生します。費用面にくわえて、保管コストや必要なタイミングでの使いやすさなども含めて判断することが大切です。
今後の受注状況や成長戦略に合わせて、その都度調達手段を検討していきましょう。
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8. 強力サポートは「信頼できる資材屋」から調達することが重要!

強力サポートを調達するのに、購入とレンタルどちらの手段を選んだ場合でも、安心して使用できる強力サポートを調達するには「どこの資材屋から調達するか」が重要です。
なぜなら、冒頭でもお伝えした通り、強力サポートには仮設工業会の認定を受ける義務がなく、法令や業界団体による全国統一の性能基準が定められていないからです。製品も、海外製品が中心となっています。
そのため、安全性の高い製品を調達するには、強度計算が適切に行われた製品を取り扱っている資材屋かどうかを見極める必要があります。

強力サポートのなかには「2. 強力サポートとパイプサポートの違い」で紹介したように、仮設工業会の認定を取得した製品もありますが、大前提認定を受ける必要はありません。そのため、市場に出ているほとんどの強力サポートは認定品ではありません。
認定の有無にかかわらず、強度が十分に検証された製品であるかどうかを確かめるためには、取り扱う資材屋に強度を証明する情報を積極的に問い合わせてみましょう。
ほかにも、信頼性や利便性が高い資材屋を選ぶ際に着目すべきポイントとして、以下のような点が挙げられます。
信頼性や利便性が高い資材屋を選ぶポイント |
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とくにはじめて利用する資材屋であれば、本章で紹介したポイントを参考に、信頼できるかどうかをしっかり見極めてから利用しましょう。
9. 強力サポートの調達は、品ぞろえとノウハウが豊富な足場JAPANをご活用ください

強力サポートの調達は、調達先選びが非常に大切なことがおわかりいただけたと思います。
私どもエルラインが運営する「足場JAPAN」は、大型工事を幅広く手掛ける建設会社ならではのノウハウを活用して、品ぞろえや価格に強みをもつ足場・仮設資材販売サイトです。
「いい資材を、徹底的に安く、早く届けたい」という願いをもとにお客様のニーズに応える体制を整えており、強力サポートの調達にもさまざまなサービスで対応いたします。
【施工業者ならではの価格と品ぞろえ】
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足場JAPANには施工現場における豊富な経験やノウハウが蓄積されているため、お客様のニーズや疑問に対して適切な提案を提供できます。

このように、足場JAPANでは、豊富な品ぞろえとお得な価格で、新品や中古、レンタルのニーズにまとめて対応が可能です。
「強力サポートを調達したいけど少しでもコストを抑えたい」「自社現場に必要な数量がわからない」といった方は、ぜひ足場JAPANにご相談ください。
10. まとめ
強力サポートは高い強度と耐荷重で重量物を支えるサポート材であり、階上解体工法による解体現場には欠かせない仮設資材です。
階上解体工法の現場に強力サポートを取り入れる際は、床面の強度や積載する重機の重量などをふまえて、強力サポートをどこに何本設置するのかといった設置計画を立てる必要があります。
強力サポートの選び方は次の2STEPです。
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強力サポートを調達するには、購入とレンタル2つの手段があります。
強度の裏付けとなる情報を提供してくれる資材屋であれば、安全性が確かな製品を取り扱っているといえるでしょう。
ほかにも
- 運営会社の工事実績
- 専門知識をもつスタッフによる相談体制
- 品ぞろえの豊富さ
- 資材センターなどの拠点数
といった点に着目して、信頼性と利便性の高い資材屋を選びましょう。
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