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一側足場とは?本足場との違いと使用可能なケースを法令に基づき解説

「一側足場について知りたい。普通の足場が組めない狭い所でも使えるんだよね?」
「一側って要するに片側だけ取り付けるってことでしょ?危なくないの?」

通常の足場設置が難しい地形の工事では、足場をどうするかは死活問題ですよね。
狭い場所に組めるシンプル構造!という謳い文句から、一側(ひとかわ)足場が気になっている方も多いのではないでしょうか。

一側足場とは、建地(柱や支柱)の片側にだけブラケット等を取り付け、その上に足場板を敷き詰めた足場のことです。正式には「ひとかわ足場」ですが、通称として「いっそく足場」と呼ばれることもあります。

支柱を内側と外側の2本設置する通常の本足場とは異なり、1本の支柱を軸に設置するシンプルな構造のため、狭小地や限られたスペースでの作業に向いています。

一側足場は、狭いスペースの作業に有効ですが、一方で安全性に課題がある点も把握しておく必要があります。

実際、墜落の危険性から、2024年に労働安全衛生規則が改正され、『対象の建築物等の外面から直交方向の水平距離が1m以上ある箇所に足場を設置する場合、原則として本足場を設置すること』として、一側足場の使用範囲が制限されています。

そのため、使用の是非は、設置条件を十分に確認した上で慎重に決めなくてはなりません。

この記事では、一側足場の特徴や向いている現場について、網羅的に解説します。

【この記事を読めばわかること】
  • 一側足場と本足場(二側足場)の具体的な違い
  • 法令で定められた一側足場設置のルール
  • 一側足場が使用される4つのケース
  • 一側足場に必要な安全対策
  • 一側足場が使用できないときの代替案

この記事を読めば、安全でスムーズな工事のために、一側足場を導入すべきかどうかが判断できるでしょう。

足場設置が難しい現場の対応策を知って備えておきたい方に役立つ内容ですので、ぜひ最後まで目を通していただければと思います。

目次

1.一側(ひとかわ)足場とは

一側足場(ひとかわあしば)とは、建地(柱や支柱)の片側にのみブラケット等を取り付け、その上に足場板を敷いた足場のことです。

【ブラケット】

出典:足場JAPAN|単管ブラケット足場|伸縮ブラケット新品商品詳細

一般的な本足場(二側足場)と比べて構造がシンプルで、狭い場所にも設置できるため、狭小地や限られたスペースでの作業に適しています。

※本足場(二側足場):一般の住宅や建築工事などで用いられる足場。縦方向の支柱が内側と外側の2本で構成されている。

出典:厚生労働省|労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の概要

一側足場は、組み方や使用する部材の違いから、主に2つの種類に分けられます。

種類組み方特徴
くさび式一側足場
部材を「くさび」で緊結
  • 地面がある場所ならハンマー1本で組み立て・解体可能
  • ブラケット付きより安定性は高い
ブラケット付き一側足場
壁につけるブラケットに足場板を直接乗せる
  • 壁に依存するため、強度に制限あり
  • くさび式一側より省スペースで設置可能

種類に違いはあるものの、いずれも本足場(二側足場)に比べてリスクが高い点は共通しています。

2024年からは法的規制が強化され、原則として『敷地が狭く本足場(二側足場)が設置できない場合』に限り、一側足場の使用が認められるようになりました。

そのため、一側足場を選ぶ際には、法的な規制を確認するとともに、本足場との違いや、一側足場でなければならない理由を把握することが重要です。

次章では、本足場との具体的な違いについて解説しますので、しっかり理解しておきましょう。

2. 【比較一覧】一側足場と本足場(二側足場)の違い

【比較一覧】一側足場と本足場(二側足場)の違い

一側足場が1本の支柱を軸に設置するのに対し、縦方向の支柱を内側と外側に2本設置し、その間に作業板を渡した足場のことを「本足場(二側足場)」と呼びます。
※記事ではこれ以降、本足場と表記します。

出典:厚生労働省「一側足場と本足場の例」

種類(足場のタイプ)として、くさび緊結式足場、枠組足場、単管足場などがあります。

一側足場と本足場の違いを、わかりやすい項目別の比較表でみていきましょう。

【項目】
一側足場
本足場
狭いスペース(1m未満)の設置
障害物等のある外壁への設置
構造がシンプルで施工が簡単
(一側に比べると手間がかかる)
安全性
強度やバランス
作業スペースの広さ
(本足場より狭い)

ご覧の通り、狭いスペースの作業には一側足場が適していますが、一方で安全性に大きな懸念があるため、積極的におすすめすることはできません。

実際、墜落の危険性から、2024年に労働安全衛生規則が改正され、『対象の建築物等の外面から直交方向の水平距離が1m以上ある箇所に足場を設置する場合、原則として本足場を設置すること』※として、一側足場の使用範囲は制限されています。

とはいえ、「現実的に本足場が設置できない場所だから仕方ないのでは…」と考える方もおられるでしょう。

その際には、設置条件を十分に確認した上で慎重に判断することが求められます。

※出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|足場からの墜落防止措置が強化されます

3. 一側足場の使用制限

一側足場の使用制限

厚生労働省では足場に関する法定の「墜落防止措置を定める労働安全衛生規則」を改正し、足場からの墜落防止措置を強化しました。

その中で、一側足場の使用範囲が明確化されています。

令和6年4月1日以降、幅が1メートル以上の箇所※において足場を使用するときは、原則として本足場を使用する必要があります。

なお、幅が1メートル未満の場合であっても、可能な限り本足場を使用してください。

つり足場の場合や、障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なときは本足場を使用しなくても差し支えありません。

※足場を設ける床面において、当該足場を使用する建築物等の外面を起点としたはり間方向の水平距離が 1 メートル以上ある箇所のこと

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|足場からの墜落防止措置が強化されます

また、「幅が1メートル以上の箇所」に関する留意点は以下の通りです。

足場設置のため確保した幅が 1メートル以上の箇所について、その一部が公道にかかる場合、使用許可が得られない場合、その他当該箇所が注文者、施工業者、工事関係者の管理の範囲外である場合等については含まれません。

 

なお、足場の使用に当たっては、可能な限り「幅が 1メートル以上の箇所」を確保してください。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|足場からの墜落防止措置が強化されます

このように、墜落事故防止の観点から、一側足場の使用範囲は法的に「幅が1メートル未満の場合」と定められており、また、幅が1メートル未満であっても、可能な限り本足場を使用することが求められています。

しかし、本足場の設置が困難で、一側足場を使用するしかないケースが存在するのも事実です。
次章では、そうした例外的なケースについて解説します。

4. 一側足場が例外的に使用される4つのケース

一側足場が例外的に使用される4つのケース

一側足場はリスク防止の観点から推奨されていませんが、『障害物の存在その他の足場を使用する場所の状況により本足場を使用することが困難なとき』には、例外的に使用が認められています。

「ということは…今度の工事は該当する?しない?」と気になる方のために、一側足場が例外的に使用される具体的なケースを下表にまとめました。

一側足場が例外的に使用される4つのケース

1. 足場を設ける箇所の全部又は一部に撤去が困難な障害物があり、建地 2本設置することが困難なとき

2. 屋根等に足場を設けるとき等、足場を設ける床面に著しい傾斜、凹凸等があり、建地を2本設置することが困難なとき

 

3. 建築物の外面の形状が複雑で、1メートル未満ごとに隅角部を設ける必要があるとき

 

4. 本足場を使用することにより建築物等と足場の作業床との間隔※が広くなり、墜落・転落災害のリスクが高まるとき

 

※足場の使用に当たっては建築物等と足場の作業床との間隔が30センチメートル以内とすることが望ましいです。

出典:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|足場からの墜落防止措置が強化されます

いずれかに該当して一側足場の使用を検討する場合は、これまでにも増して墜落防止措置を徹底することが重要です。

次章で、一側足場を使用の際に、必要となる安全対策について説明しますので参考にしてください。

また、4つのケースに該当しないけれど、本足場の設置が困難な状況にお悩みの方は、6. 【一側足場の代替案】キャスター付きの移動足場「ローリングタワー」で一側足場に代わる代替え案を紹介しますので、工事計画にお役立ていただけたらと思います。

5. 死亡災害が2割!一側足場を使用する際に必要な安全対策

死亡災害が2割!一側足場を使用する際に必要な安全対策

一側足場の使用時は、本足場以上に安全対策に慎重を期さなければならないことは、実際に墜落・転落による死亡災害が発生していることからも明らかです。

厚生労働省が発表した資料「死亡災害発生状況の推移」によると、令和元年〜令和3年の建設業の墜落・転落による死亡災害のうち、屋根・屋上等の端・開口部からの災害が約3割、足場からの災害が約2割でした。

出典:厚生労働省|死亡災害発生状況の推移

また、足場からの死亡災害56件のうち、一側足場におけるものが8件、その内訳は、

  • 通常作業中に躯体との間から墜落1件
  • 通常作業中に外側から墜落6件
  • 組立・解体作業中に墜落1件

となっています。

そもそも一側足場を使用するのが例外的なケースと考えると、これは決して少ない数字ではありません。一側足場では、何より安全対策を強化しなければならないことがわかります。

一側足場の使用に当たっては、法令上、高さ2m以上の端部においては、少なくとも手すり等の墜落防止措置が必要です。

また、法的義務はありませんが、可能な限り、壁つなぎ、中さん、根がらみ、巾木、安全ネット等を設置することが推奨されています。

  • 壁つなぎ:足場と建物を固定するための補強材
  • 中さん:作業床と手すりの間に設置される水平部材
  • 根がらみ:足場の支柱同士をつなぐ水平部材
  • 巾木:墜落防止のため、足場の床の外縁に取り付ける板材
  • 安全ネット:足場の水平面に取り付ける落下防止用のナイロンやポリエステル製のネット

これらの措置を講じることで、安全性をさらに強化できます。

出典:滋賀労働局・労働基準監督署(大津・彦根・東近江)|足場に関する労働安全衛生法上の規定について

一側足場を設置する際は、法令で定められた手すりはもちろんのこと、可能な限り追加部材での措置を講じ、より高い安全性を確保しましょう。

現場の状況に応じて適切な対策を施し、安全第一で作業を進めてください。

参照:厚生労働省安全衛生部安全課建設安全対策室|労働安全衛生法令における墜落防止措置と安全帯の使用に係る主な規定

6. 【一側足場の代替案】キャスター付きの移動足場「ローリングタワー」

【一側足場の代替案】キャスター付きの移動足場「ローリングタワー」

ここまで読んできて、例外的なケースには該当しないが、本足場の設置が困難な状況にある方、また、安全性の観点から一側足場を避けたい方は、まだ悩んでおられるかと思います。

そこで6章では、一側足場の代替案として、「ローリングタワー」をご紹介したいと思います。

ローリングタワーは、高さを調整できる移動式の足場です。

元々は枠組み足場の資材を組み立てる補助的な役割を担っていましたが、その機動性を活かし、単独で足場として利用されるケースが増えています。

キャスター付きで小回りが利くため、狭小地や限られたスペースでの使用に適しており、天井配管、照明器具の設置、クロス施工などの作業で広く活用されています。

自立式で外部支えを必要としないことから、一側足場に比べて安定性が高く、安全性の向上が期待できるため、代替案として有効です。

出典:足場JAPAN|ローリングタワー

ローリングタワーは、一般的にビルの2階程度の高さで使用されますが、部材を重ねることで、さらなる高所作業にも対応が可能です。

ただし、キャスター付きの構造上、設置には水平な地面の確保が必要となります。
使用の際は、作業場所を整理整頓し、安全を確保した上で実施しましょう。

チェック!【他の代替え案で「ロープアクセス」ってどう?】
一側足場の代替としてよく紹介される他の手段に、「ロープアクセス」があります。

その名の通り、屋上からロープで作業員が吊り下がって工事作業を行う手法で、地面から足場を組む必要がないため、狭小地作業に向いています。
 
ただし、ロープアクセスは専門的な資格や訓練が必要であり、作業環境によっては一側足場以上のリスクを伴います。

すぐに実施できる方法ではないため、急ぎの代替案としては現実的ではないでしょう。

とはいえ、地盤が不安定な場所や、十分な設置スペースが確保できない狭小地などの状況では、ローリングタワーの設置も困難な状況が考えられます。

そうしたケースでは、カスタマイズできる小型足場といった選択肢がありますので、足場専門の施工業者や、専門の資材屋に相談してみるのも一案でしょう。

7. 足場のお悩みは工事のプロに相談できる「足場JAPAN」へ

「今回の現場、一側足場しかないと思ってたけど、知れば知るほど安全性が気になる。どうしよう」
「一側足場だと、安全部材を追加しなくちゃだめだな。壁つなぎ、根がらみ、安全ネット…一体どれを、どのくらい揃えたらいいのかわからない…」

こんな悩みをお持ちではないでしょうか。

一側足場や安全部材、足場のことなら何でも「足場JAPAN」にお任せください!

「足場JAPAN」は、施工会社を母体とする足場と仮設資材の販売・買取総合サイトです。

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「足場JAPAN」はこんなサイトです!
  1. 工事のプロに相談できる
  2. 豊富なメニューから探せる・選べる
  3. 足場材のセット商品がどこよりもお得な価格で購入できる

順にみていってください。

7-1. 工事のプロに相談できる

狭いスペースの現場に一側足場の導入を検討中だが、安全性の面から他の方法を模索している。
また、揃えるにしても、適切な数量がわからない。過不足が生じないか心配…

という方、ご安心ください!

足場JAPANでは、工事のプロが、足場や、足場材の数量についてのご相談をお受けします。

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といったことはないでしょうか。

足場JAPANには、施工現場における豊富な経験を持つ担当者がいますので、図面を送っていただければ、適切な足場についてのアドバイスができます。
必要な数量と見積もりを同時にお出しすることも可能です。

7-2. 豊富なメニューから探せる・選べる

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出典:足場JAPAN|MENU

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ぜひ一度お試しください。

7-3. 足場材のセット商品がどこよりもお得な価格で購入できる

足場JAPANなら、足場材のセット商品がお得な価格で購入できます。

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8. まとめ

一側足場は、建地の片側にだけブラケット等を取り付け、その上に足場板を敷き詰めた足場です。

通常の本足場より狭いスペースに設置できるというメリットはありますが、強度が低くバランスが不安定であることから、例外的なケースを除いて使用は推奨されていません。

一側足場の使用が例外的に認められているのは以下の4つのケースです。

  1. 足場を設ける箇所の全部又は一部に撤去が困難な障害物があり、建地 2本設置することが困難なとき
  2. 屋根等に足場を設けるとき等、足場を設ける床面に著しい傾斜、凹凸等があり、建地を2本設置することが困難なとき
  3. 建築物の外面の形状が複雑で、1メートル未満ごとに隅角部を設ける必要があるとき
  4. 本足場を使用することにより建築物等と足場の作業床との間隔が広くなり、墜落・転落災害のリスクが高まるとき

一側足場を設置する際は、法令で定められた手すりはもちろんのこと、可能な限り追加部材での措置を講じ、安全性を確保することが重要です。

現場の状況に応じた安全対策を、しっかり定着させていきましょう。

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この記事を書いた人

株式会社エルライン 社長室 1級電気工事施工管理技士

新卒で大手総合設備会社に施工管理として就職し、大型現場の再開発工事を経験。その後、建設人材派遣会社へと移り、複数現場で施工管理としての経験を積む。1級電気工事施工管理技士に合格したのを機に、同社の本社へと出向し、教育に携わる。2024年4月にエルライングループにジョインし、教育や採用活動、広報・マーケティング業務などに従事。

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