支保工と足場はどう違う?役割など5つの違いをわかりやすく解説

この記事を書いた人

水野源太
株式会社エルライン 社長室 1級電気工事施工管理技士

新卒で大手総合設備会社に施工管理として就職し、大型現場の再開発工事を経験。その後、建設人材派遣会社へと移り、複数現場で施工管理としての実務経験を積む。1級電気工事施工管理技士に合格したのを機に、同社の本社へと出向し、教育に携わる。2024年4月にエルライングループにジョインし、教育や採用、広報・デジタルマーケティング・新規事業開発などに従事。

「支保工と足場って、どう違うの?」
「現場で先輩から『これは足場。そっちが支保工だよ』と教えてもらったけれど、正直ピンと来なかった……」

足場についてはそれなりに理解していても、新たな現場に入ったときに初めて出会った「支保工(しほこう)」という言葉に戸惑っていませんか?

どちらも同じようにパイプや鋼製パイプを使って設置されているため、一見しただけでは区別がつきにくく、混乱してしまいますよね。

結論からお伝えすると、支保工と足場はまったく別の役割を持つ仮設構造物です。

支保工:コンクリートを打設する際の型枠を支える仮設構造物
足場:作業員が高所で作業する際の作業床となる仮設構造物

両者は役割が異なるため、施工のタイミングや使用資材、組み立て方なども変わってきます。

項目支保工足場
いつコンクリート打設前に型枠を組み立てる段階高所作業の開始前

【木造かつ高さ10m未満の建築物を新築する場合】基礎工事、埋め戻しおよび地ならしが終了した後、建方作業の開始前(足場先行工法)
【既存の建築物の工事の場合】改修や外壁塗装など目的の作業を開始する前

誰が型枠大工
※他職種の作業員と共同で行う場合も型枠大工が中心
足場工(鳶職)
※他職種の作業員と共同で行う場合も足場工(鳶職)が中心
どこに型枠に近接した位置建築物の外周や内部の、作業員が移動・作業する動線に沿った位置

本記事では、これらの違いについてわかりやすく解説していきます。

お読みいただくことで、曖昧になりがちな「支保工」と「足場」の違いを明確に理解でき、現場で混乱することなく自信を持って「これは支保工」と判断できるようになるでしょう。

ぜひ最後までお読みいただき、支保工と足場に関する正しい知識を日々の現場でお役立てください。

目次

1. 【支保工と足場の違い1】目的・役割

【支保工と足場の違い1】目的・役割

支保工と足場は、使っている資材こそ似ていますが、目的も役割もまったく異なる仮設構造物です。

型枠を支える支保工高所用の作業床となっている足場
 それぞれの目的・役割は以下の通りです。 
支保工足場
目的型枠(コンクリートを成形するための枠)を支える高所作業のための作業床と通路を設ける
役割型枠の崩壊を防ぎ、硬化前コンクリートの変形を防ぐ高所で作業する作業員の安全と作業効率を確保する

一言で言うと、型枠を「支えて保つ」のが支保工です。

コンクリート施工で使う型枠は、固まる前のドロドロの状態の生コンクリートを所定の形状・寸法に固めるための型です。しかし、生コンクリートは非常に重く、型枠には相当な圧力がかかります。

そのため、型枠パネル(型枠を形作る加工パネル)を金具で軽く固定しただけでは、生コンクリートの重みに耐えきれず、ずれたり倒壊したりしてしまいます。

そこで、金属パイプなどを組み合わせて型枠全体を強固に支える構造を作ります。
これが「型枠支保工」、略して「支保工」です。

「壁が倒れてこないように支えるイメージ」です。

「壁が倒れてこないように支えるイメージ」です。

ただし、たとえばRC造(鉄筋コンクリート造)の建物は、躯体のほぼすべてが型枠を使ってコンクリートで作られます。

したがって、たとえば壁や柱の型枠であれば、上のイメージ図の通りとなりますが、床や梁といった水平方向の型枠の場合は「上の板が落ちてこないように下から支える」イメージとなります。

したがって、たとえば壁や柱の型枠であれば、上のイメージ図の通りとなりますが、床や梁といった水平方向の型枠の場合は「上の板が落ちてこないように下から支える」イメージとなります。

この場合、がらんとした空間に支柱(パイプサポート)が並ぶ光景が広がることとなり、特に足場と取り違えやすい状況といえそうです。

この場合、がらんとした空間に支柱(パイプサポート)が並ぶ光景が広がることとなり、特に足場と取り違えやすい状況といえそうです。

このように、支保工にも足場にも鋼製パイプが使われるため見た目が似ています。しかし、型枠を支える支保工は、高所作業時の作業場所となる足場とは目的・役割が明確に異なっているのです。

型枠支保工のほかに「土止め支保工」もある
支保工には「土止め支保工」もあります。
これは掘削時の崩落を防ぐためのものです。

地盤を掘り下げると、側面には土圧や水圧がかかり、そのままでは崩落する恐れがあるため「土止め壁」を設置し、それを支える形で支保工を組みます。
これによって掘削作業時の作業員の安全を確保するのです。

このように、型枠支保工も土止め支保工も、「支えて保つ」という役割に違いはありません。

ちなみに、「支保工」と言えば型枠支保工を指すことが多いです。
本記事でも型枠支保工について解説していきます。

2. 【支保工と足場の違い2】タイミング・作業従事者・位置

【支保工と足場の違い2】タイミング・作業従事者・位置

目的と役割が異なる支保工と足場ですので、現場での実作業における

  • いつ(設置するタイミング)
  • 誰が(作業従事者)
  • どこに(設置位置)

も異なります。

項目支保工足場
いつコンクリート打設前に型枠を組み立てる段階高所作業の開始前

【木造かつ高さ10m未満の建築物を新築する場合】基礎工事、埋め戻しおよび地ならしが終了した後、建方作業の開始前(足場先行工法)
【既存の建築物の工事の場合】改修や外壁塗装など目的の作業を開始する前

誰が型枠大工
※他職種の作業員と共同で行う場合も型枠大工が中心
足場工(鳶職)
※他職種の作業員と共同で行う場合も足場工(鳶職)が中心
どこに型枠に近接した位置建築物の外周や内部の、作業員が移動・作業する動線に沿った位置

上の表の内容を、以下で補足します。

【いつ】
支保工は、組み立てた型枠を所定の形状でしっかり固定するためのものなので、型枠組立の一連の工程の最後に設置されます。

一方、足場は、高所作業時の作業床兼通路の役目を果たします。そのため、高所作業を開始する前に設置されます。既に建築物が建っている現場であれば、真っ先に行う作業が足場の設置ということになります。

そのため、現場に応じて支保工と足場を組み立てるタイミングが一緒になったり前後したりすることもあります。

【誰が】
支保工は、基本的に型枠大工と呼ばれる型枠専門の職人が設置し、足場は足場工(鳶職)が設置します。

支保工に携わる型枠大工と、足場に携わる足場工(鳶職)とでは、必要とされる知識や技術が違うため、型枠大工と足場工(鳶職)のそれぞれに専用の資格が用意されています。
(※資格については「5. 【支保工と足場の違い5】必要な資格」で後述します)

【どこに】
支保工は型枠を直接支えるため、型枠に接するように設置されます。
一方、足場は作業者の作業空間を確保するものなので、建物に密着させず、少し離れた位置に設置されます。

3. 【支保工と足場の違い3】組み立ての流れ

【支保工と足場の違い3】組み立ての流れ

では次に、組み立ての流れの違いについても見ていきましょう。

支保工は「型枠を保持する仮設構造物」として、型枠工事の一部として設置されます。
一方、足場は「作業空間をつくる仮設構造物」として、建物本体の施工とは別に、独立した工程として組み立てられます。

組み立ての流れの両者の違い
  • 支保工(型枠)の組み立ては「建て込んでがっちり固定する」
  • 足場の組み立ては「上に組み上げていく」

両者の組み立ての流れを大まかにご紹介しますので、イメージの違いを捉えてみてください。

【支保工の組み立ての流れ】
木造住宅の場合、地下室を作らない限り型枠が必要なのは基礎部分だけですが、RC造(鉄筋コンクリート造)の建物は床・壁・柱・梁すべてがコンクリートで作られます。

そのため、ひと口に型枠と言っても何を作るかで組み立て方は異なりますが、ここでは壁の型枠を例に取り、大まかな流れをご紹介します。

支保工の組み立ては、型枠を組み立てる流れの後半「締め固め」プロセスに該当します。

《建て込み》
まず、出来上がりの壁形状となるよう外壁側と建物内部側のあらかじめ決めた位置に型枠パネルを並べて立てる「建て込みと呼ばれる作業を行う

《締め固め》
建て込んだ型枠がコンクリートの圧力で変形・倒壊しないよう、枠の外側に鋼製パイプを取り付け、締め付け金具で固定する「締め固め」を行う

実際には、枠を立てる位置に「敷桟(しきざん)」を固定したり、外壁側の枠と建物内部側の枠の間にセパレータを取り付けたりといった工程もありますが、アウトラインとしては上記の通りです。

【足場の組み立ての流れ】
足場には構造別に「くさび式」「枠組」「次世代」「単管」の4種類があります。
ここでは、大規模な現場で採用されることが増えつつある「次世代足場」の組み立ての大まかな流れをご紹介します。

《足場の1層の組み立て》
支柱を立てたら以下の順序で各資材を取り付け、1層分を形作る

  • 手すり(兼ブレース)を長手方向に取り付ける
  • つなぎ材を枠幅方向に取り付ける
  • 1層上の層の手すり(兼ブレース)を取り付ける
  • 鋼製布板を下から取り付ける

《1層ずつ積み上げ》
上の層に上がり、上記手順を繰り返しながら上方向に組み上げていく

実際には足場の足元に根がらみ代わりのつなぎ材を取り付けたり、階段や幅木を取り付けたりといった工程もありますが、アウトラインとしては上記の通りです。

このように、支保工(型枠)の組み立ては「建て込んでがっちり固定する」、足場の組み立ては「上に組み上げていく」という作業になります。

目的が違えば、目指す仕上がりの形が違い、組み立ての流れも当然違ってくるのです。

4. 【支保工と足場の違い4】使用する資材

【支保工と足場の違い4】使用する資材

前章では、支保工と足場の組み立ての流れの違いをご紹介しました。
続いて、組み立てる「資材」にはどのような違いがあるのかについて見ていきましょう。

支保工を構成する資材と足場を構成する資材は、あまり変わらないように見えても実は大きな違いがあります。

というのも、支保工では「強度と耐荷重性」が最優先される一方、足場では「作業空間の確保と組み立て時の利便性」が重視されるからです。

支保工と足場それぞれに使われる主な資材について、以下で解説していきます。

4-1. 支保工に使用する主な資材

支保工には、型枠にかかるコンクリートの大きな圧力を支えるため、特に頑丈な資材が使われます。
主にどういった資材が使われているのかをイラストで確認しておきましょう。

なお、支保工はあくまで型枠あってのものであるため、下図では支保工の資材(太字表記)とともに型枠の構成資材(細字表記)も併せてご紹介しています。

支保工に使用する主な資材 〜壁型枠の例〜

コンクリートに接する合板「せき板(コンパネ)」の裏側に桟木を釘で打ち付けて補強したものが「型枠パネル」です。

また、型枠を水平方向に補強する「外端太」には地域差があります。西日本では角材の「バタ角」が、東日本では「バタ丸」が多く用いられます。バタ丸には軽量な1.8㎜厚の丸パイプもありますが、よりたわみにくい2.4㎜厚が採用される傾向です。

支保工に使用する主な資材 〜スラブ型枠(床・天井用の型枠)の例〜

スラブ(床・天井)や梁といった水平部材の型枠を下から支える支柱(パイプサポート)には非常に大きな荷重がかかるため、1本の耐荷重は2t前後というのが一般的です。

なお、上記で紹介した資材は、あくまで一般的によく使われる主要な資材のみを記載しています。その他さまざまな資材を組み合わせて、型枠を固定します。

4-2. 足場に使用する主な資材

足場に使用する資材は、足場の種類によって変わってきますが、ここでは足場の種類を問わないおおまかな括りでご紹介していきます。

足場に使用する資材は、足場の種類によって変わってきますが、ここでは足場の種類を問わないおおまかな括りでご紹介していきます。

足場材(足場を組み立てるのに使われる資材)は、組み立て・解体時の作業効率アップにつながる軽量化もポイントとなってきます。

型枠のように大量の生コンクリートの重みがのしかかってくるわけではなく、作業員が上に載っても安全性を担保できるだけの頑丈さがあれば問題ないためです。

たとえば単管パイプには、頑丈な2.4mm厚、軽量な1.8mm厚のほかに、より軽量なアルミ製もあります。足場板についても、軽量で耐食性も高いアルミ製が主流です。

足場材については「足場材の種類|今さら聞けない基礎知識と種類別の仕入れのコツを解説」で詳しく解説していますので、こちらもご参考になさってください。

支保工資材も足場材も!仮設資材は「足場JAPAN」でお得に購入可能
支保工用資材をはじめとした仮設資材の調達には、圧倒的価格メリットを誇る「足場JAPAN」がおすすめです。

支保工や足場で使う資材はまとまった数量が必要になることが多く、仕入れ先次第でコストが大きく変わります。

そこで有力な選択肢となるのが「足場JAPAN」です。

こうした仮設資材事情を踏まえたときに、有力な選択肢として浮上するのが、スケールメリットを活かした価格で各種資材をご提供している私たち「足場JAPAN」なのです。

運営元である株式会社エルラインは大規模工事を手がける会社なので、扱う資材は自社使用分と販売分をまとめて大量仕入れ。スケールメリットを活かして、他社様ではなかなか出せないお得な価格で提供しています。

大量購入ならさらに値引きも可能です。サイトに掲載されていない資材も扱っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

足場JAPANに相談してみる


5. 【支保工と足場の違い5】関連する資格

【支保工と足場の違い5】関連する資格

ここまで見てきたように、支保工と足場とでは役割も構造も異なるため、実際に施工する職人に求められる知識や技術も変わってきます。

その違いは資格制度にもはっきり表れており、関連する資格は完全に別々のものです。
それぞれに関連する資格を、以下で確認しておきましょう

5-1. 型枠大工に関連する資格

最初に、「型枠大工になるために必須の資格」というものは存在しません。

そもそも型枠大工関連の資格試験を受けられるのは、原則として「型枠工事の実務経験がある人」だけです。必然的に(同業界からの転職者を除き)型枠工事会社に就職する人は全員未経験者なのです。

ここでご紹介する2種類の資格は、いずれも「型枠大工になるための資格」ではなく、「型枠大工としてさらに活躍するための資格」です。

つまり、ある程度の現場経験を積んだ上でキャリアステップの一環として挑戦する位置付けの資格となります。

項目  型枠施工技能士型枠支保工の組立て等作業主任者
特徴型枠大工としてステップアップしたいならまず取得すべき国家資格作業主任者となるのに必要な国家資格
関連法令労働安全衛生規則第246条
取得するために必要なこと技能検定(実技試験+学科試験)の受験および合格所定の講習(計13時間)の受講+修了試験(1時間)**
受験・受講資格1級:7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験
2級:2年以上の実務経験
3級:建築学科等・関連する職業訓練課程に在籍または卒業、あるいは実務経験*
「満18歳を満たしてからの実務経験が3年以上ある者」または「土木・建築系学科卒業後2年以上の実務経験を持つ者」
取得するとできること型枠の組立図の作成能力や組み立てスキルが公的に認定される型枠支保工の組み立てや解体を行う現場での、作業主任者としての職務遂行
  • 作業手順を決めて指示する
  • 安全管理を担う

*学歴等により必要な実務経験年数が異なるため、厚生労働省「技能検定の受検資格一覧表」で確認するか、最寄りの都道府県職業能力開発協会に要問い合わせ。
**学歴等により必要な受講時間数が異なるため、厚生労働省「型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習規程」で確認する。

5-2. 足場工(鳶職)に関連する資格

ここでご紹介する足場工(鳶職)関連の資格3種類のうち1種類は、足場の組み立てや解体に従事するなら必須、2種類は働きながら任意で取得するものです。

項目 足場の組立て等特別教育 足場の組立て等作業主任者 とび技能士
特徴 足場の組立て・解体・変更の作業に従事する全ての作業員に義務付けられている必須資格* 作業主任者となるのに必要な国家資格 足場に関する幅広い施工技術を対象とした国家資格
必要性 必須 任意
(現場ごとに1名以上の有資格者の配置が必要)
任意
関連法令 労働安全衛生法第59条第3項 労働安全衛生法施行令第6条第15号

労働安全衛生規則第565条

取得するために必要なこと 所定の教育(計6時間)の受講 所定の講習(計13時間)の受講+修了試験(1時間)*** 技能検定(実技試験+学科試験)の受験および合格
受験・受講資格 「満18歳を満たしてからの実務経験が3年以上ある者」または「土木・建築系学科卒業後2年以上の実務経験を持つ者」 1級:7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験
2級:2年以上の実務経験
3級:建築学科等・関連する職業訓練課程に在籍または卒業、あるいは実務経験****
取得するとできること 足場の組立て・解体・変更の作業** 足場の組み立てや解体を行う現場での、作業主任者としての職務遂行
  • 作業手順を決めて指示する
  • 安全管理を担う
鳶職全般のスキルが公的に認定される

*地上での補助作業だけに従事する場合はその限りではない。
**受講自体に年齢制限はないが、足場の組立て等の作業に従事できるのは満18歳以上と定められているため、18歳未満で受講した場合は満18歳になってから修了証が発行される。
***学歴等により必要な受講時間数が異なるため、中小建設業特別教育協会「足場の組立て等作業主任者技能講習 免除規定表」で確認する。
****学歴等により必要な実務経験年数が異なるため、厚生労働省「技能検定の受検資格一覧表」で確認するか、最寄りの都道府県職業能力開発協会に要問い合わせ。

このように、支保工を組み立てる型枠大工と足場を組み立てる鳶職では、求められる資格や推奨される資格も異なります。

6.  支保工と足場の共通点は3つ

支保工と足場の共通点は3つ

これまで支保工と足場の違いを見てきましたが、両者には共通する側面もあります。
ここでは次の3つの共通点について解説します。

  • 最終的には解体・撤去する仮設構造物である
  • 組立て・解体に専門的な知識・技術が必要
  • 安全確保のためのルールが労働安全衛生規則に定められている

それぞれのポイントを順に見ていきましょう。

6-1. 最終的には解体・撤去する仮設構造物である

支保工と足場は、最終的には解体・撤去された現場には残らない仮設構造物である点で共通しています。

建物や構造物本体ではなく、あくまでその建設や補修の工程で必要となる「道具」であるため、工事の進行に合わせて一時的に設置され、役目を終えれば解体・撤去されるのです。

支保工はコンクリートが十分に固まり型枠を取り除く際に、足場は工事が終盤に近づいて高所で作業する必要がなくなったタイミングで、一気にあるいは段階的に撤去されます。

両者はともに「工事を支える縁の下の力持ち」であるといえます。

6-2. 組立て・解体に専門的な知識・技術が必要

支保工と足場は、組立てや解体に専門的な知識や技術が必要な点で共通しています。

作業に従事するだけなら、特段の資格は不要もしくはごく基礎的な講習を受けるだけで大丈夫です。
しかし、「どう組み立てるか」といったプランニングなどには、専門的な知識・技術が欠かせません。

支保工であればコンクリートの圧力や荷重を、足場であれば荷重条件や外力(風・地震)を考慮し、緻密な計算に基づいて設計しなければ、倒壊しかねないからです。

いずれも「ちょっとした組み違い」が大事故につながるおそれがあるからこそ、「5. 【支保工と足場の違い5】関連する資格」で挙げた専門資格の保有者が責任を持って施工する決まりとなっているのです。

6-3. 安全確保のためのルールが労働安全衛生規則に定められている

支保工と足場は、安全確保のためのルールが定められている点でも共通しています。

作業員を守るための危険防止措置が、どちらの現場にも不可欠だからです。

高所作業となる足場は危険が想像しやすい一方で、「型枠にはそれほど大きなリスクはないのでは」と思われるかもしれません。しかし実際には、特に床や天井の型枠(スラブ)を支持する支保工が崩壊する事故は、たびたび発生しています。

たとえば2023年にも、東京都内の高層ビル建設現場において、スラブ上で作業していた作業員9人が巻き込まれ、そのうち4人が負傷しました。

出典:株式会社 労働調査会「労働安全衛生広報 2023年9月15日号ダイジェスト」

支保工の現場では「型枠支保工の組立て等作業主任者」、足場の現場では「足場の組立て等作業主任者」を配置することが、労働安全衛生規則で義務付けられています。

配置された作業主任者が、指揮、点検、異常発生時の安全措置などの責務を果たすというルールと体制があってこそ、支保工や足場の安全が保たれるのです。

7. まとめ

支保工と足場の違いや共通点について解説しました。
以下に要点をまとめます。

▶︎支保工と足場の目的・役割は、それぞれ下表の通りです。 

支保工足場
目的
型枠(コンクリートを成形するための枠)を支える高所作業のための作業床と通路を設ける
役割
型枠の崩壊を防ぎ、硬化前コンクリートの変形を防ぐ高所で作業する作業員の安全と作業効率を確保する

▶︎支保工と足場の、現場での実作業における「いつ(設置するタイミング)」「誰が(作業従事者)」「どこに(設置位置)」は、それぞれ下表の通りです。

項目
支保工
足場
いつコンクリート打設前に型枠を組み立てる段階高所作業の開始前

【木造かつ高さ10m未満の建築物を新築する場合】基礎工事、埋め戻しおよび地ならしが終了した後、建方作業の開始前(足場先行工法)
【既存の建築物の工事の場合】改修や外壁塗装など目的の作業を開始する前

誰が型枠大工
※他職種の作業員と共同で行う場合も型枠大工が中心
足場工(鳶職)
※他職種の作業員と共同で行う場合も足場工(鳶職)が中心
どこに型枠に近接した位置建築物の外周や内部の、作業員が移動・作業する動線に沿った位置

▶︎支保工と足場の組み立ての流れの違いを簡潔に言い表すと、下記のようになります。

  • 支保工(型枠)の組み立ては「建て込んでがっちり固定する」
  • 足場の組み立ては「上に組み上げていく」

▶︎支保工と足場の構成資材の違いを簡潔に言い表すと、下記のようになります。

  • 支保工の資材は「強度と耐荷重性」が最優先される
  • 足場の資材は「作業空間の確保と組み立て時の利便性」が重視される

▶︎支保工と足場それぞれに関連する資格は完全に別々。
支保工に関連する資格は下表の通り。

項目  型枠施工技能士型枠支保工の組立て等作業主任者
特徴型枠大工としてステップアップしたいならまず取得すべき国家資格作業主任者となるのに必要な国家資格
関連法令労働安全衛生規則第246条
取得するために必要なこと技能検定(実技試験+学科試験)の受験および合格所定の講習(計13時間)の受講+修了試験(1時間)**
受験・受講資格1級:7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験
2級:2年以上の実務経験
3級:建築学科等・関連する職業訓練課程に在籍または卒業、あるいは実務経験*
「満18歳を満たしてからの実務経験が3年以上ある者」または「土木・建築系学科卒業後2年以上の実務経験を持つ者」
取得するとできること型枠の組立図の作成能力や組み立てスキルが公的に認定される型枠支保工の組み立てや解体を行う現場での、作業主任者としての職務遂行
  • 作業手順を決めて指示する
  • 安全管理を担う

*学歴等により必要な実務経験年数が異なるため、厚生労働省「技能検定の受検資格一覧表」で確認するか、最寄りの都道府県職業能力開発協会に要問い合わせ。
**学歴等により必要な受講時間数が異なるため、厚生労働省「型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習規程」で確認する。

足場に関連する資格は下表の通り。

項目足場の組立て等特別教育足場の組立て等作業主任者とび技能士
特徴足場の組立て・解体・変更の作業に従事する全ての作業員に義務付けられている必須資格*作業主任者となるのに必要な国家資格足場に関する幅広い施工技術を対象とした国家資格
必要性必須任意
(現場ごとに1名以上の有資格者の配置が必要)
任意
関連法令労働安全衛生法第59条第3項労働安全衛生法施行令第6条第15号

労働安全衛生規則第565条

取得するために必要なこと所定の教育(計6時間)の受講所定の講習(計13時間)の受講+修了試験(1時間)***技能検定(実技試験+学科試験)の受験および合格
受験・受講資格「満18歳を満たしてからの実務経験が3年以上ある者」または「土木・建築系学科卒業後2年以上の実務経験を持つ者」1級:7年以上の実務経験、または2級合格後2年以上の実務経験
2級:2年以上の実務経験
3級:建築学科等・関連する職業訓練課程に在籍または卒業、あるいは実務経験****
取得するとできること足場の組立て・解体・変更の作業**足場の組み立てや解体を行う現場での、作業主任者としての職務遂行
  • 作業手順を決めて指示する
  • 安全管理を担う
鳶職全般のスキルが公的に認定される

*地上での補助作業だけに従事する場合はその限りではない。
**受講自体に年齢制限はないが、足場の組立て等の作業に従事できるのは満18歳以上と定められているため、18歳未満で受講した場合は満18歳になってから修了証が発行される。
***学歴等により必要な受講時間数が異なるため、中小建設業特別教育協会「足場の組立て等作業主任者技能講習 免除規定表」で確認する。
****学歴等により必要な実務経験年数が異なるため、厚生労働省「技能検定の受検資格一覧表」で確認するか、最寄りの都道府県職業能力開発協会に要問い合わせ。

▶︎支保工と足場の共通点は以下の3つ:

  • 最終的には解体・撤去する仮設構造物である
  • 組立て・解体に専門的な知識・技術が必要
  • 安全確保のためのルールが労働安全衛生規則に定められている

本記事が、支保工への理解を深め、曖昧だった足場との違いを整理するきっかけとなれば幸いです。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次