「もっと給料のいい仕事がしたい」
「今の仕事も嫌いじゃないけど、このままでいいのか…」
そんな思いを胸に、ふと現場で聞いた“鉄骨鳶”という仕事に興味を持ち始めていませんか?
高いところは正直こわい。でも、映像や現場で見るあのスケール感には、なんとも言えない魅力がありますよね。
「未経験からでもなれるのか」「資格って難しいのか」「危険な仕事じゃないのか」――気になること、不安なことはたくさんあると思います。
でもその一方で、日給3万円、年収600万円以上という話を聞くと、「今より稼げるなら…」と前向きな気持ちにもなるのではないでしょうか。
「地図に残る建物を支える」「家族に誇れる職につきたい」「機械に奪われず、ずっと続けられる技術職を目指したい」――そんな思いが少しでもあるなら、鉄骨鳶という選択は、あなたの人生を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
この記事では、鉄骨鳶の仕事内容・資格・年収・安全性・やりがいについてお伝えします。
鉄骨鳶とは何かを5分でざっくり理解
高所で骨組みを組み上げる仕事
鉄骨鳶とは、建物の「骨格」を鉄骨で組み上げる職人のことです。主に高層ビルや工場、商業施設の建築現場で活躍し、クレーンで吊られた鉄骨を、空中で正確に受け取りながら組み立てていきます。
一歩間違えば大事故につながる作業ですが、その分やりがいと達成感は非常に大きいです。毎日違う現場で、巨大な建物が少しずつ形になっていく様子を間近で見られるのは、鉄骨鳶ならではの醍醐味でしょう。
とくに目立つのは、建物の「立ち上げ」初日に鉄骨が一気に建ち上がるシーン。その瞬間に立ち会えるのは、鉄骨鳶という職人だけなのです。
足場鳶とのちがいを知ろう
同じ「鳶職」でも、足場鳶と鉄骨鳶では仕事内容が大きく異なります。
足場鳶と鉄骨鳶のちがい
項目 | 足場鳶 | 鉄骨鳶 |
---|---|---|
作業対象 | 足場の組立・解体 | 鉄骨の組立 |
高さ | 10m前後が多い | 30m以上も |
資格 | 足場作業主任者など | 玉掛け・とび技能士など |
平均日給 | 1.3〜1.8万円 | 2〜3万円 |
このように、鉄骨鳶はより高度な技術と判断力が求められる分、収入や将来性も大きくなります。
鉄骨鳶が活やくする場面とは
鉄骨鳶は、鉄骨造だけでなく、鉄筋コンクリート(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)の建物でも骨組みづくりに欠かせない職種です。
ビル、工場、体育館、商業施設、マンションなど、大型・高層建築から混構造ビルまで幅広く関わります。
中でも特に重要なのが「建方(たてかた)」工程で、クレーンで吊り上げた柱や梁を現場で正確に組み上げ、垂直・水平を調整しながら骨組みを構築します。
また、鉄骨同士をボルトで仮組し、鍛治鳶が後から本締めするという工程も含まれ、多くの職種が密に連携します。
鉄骨鳶は以下のような工程を担う、現場の要(かなめ)です。
- 地上でクレーンの準備や玉掛けを行い、資材を吊り上げる
- 高所で鉄骨を受け取り、垂直・水平を計りながら位置決め・仮固定する
- 鉄骨がRC/SRC造の場合、コンクリート型枠設置後に鉄骨を組む場合もあり、工程理解が必要
- 鍛治鳶と連携しながら、ボルト本締め・最終位置調整、安全確認・無線指示まで担当する
鉄骨鳶は、単に鉄骨を組むだけでなく、混構造建築にも対応する高い技術力と判断力が必要な、現場運営の中心的な存在なのです。
鉄骨鳶の仕事は地上と空中で分かれる
下まわりと取り付けのちがい
鉄骨鳶の仕事は、大きく2つに分かれます。地上で作業を支える「下まわり(地走り)」と、鉄骨を実際に空中で組み上げる「取り付け(上鳶)」です。
下まわりは、玉掛けやボルトの準備、工具の整理、クレーンオペレーターとの無線連携などを担当します。一方、取り付けは高所で鉄骨を受け取り、寸分の狂いなくボルトで固定する非常に緊張感のある作業です。
新人はまず下まわりからスタートし、現場を理解してから上鳶にステップアップするのが一般的です。
地上での段取りの工夫
鉄骨鳶の現場で「下まわり」がしっかりしていないと、上の作業は成り立ちません。例えば、鉄骨を吊る順番や角度、資材の置き場、ボルトの仕分けなどは全て事前の段取りにかかっています。
現場では、1分1秒の遅れがクレーンの稼働時間や他業者のスケジュールに影響を与えるため、素早く的確な判断とチームワークが求められます。
「段取り8割」とよく言われるように、実際の作業よりも、準備にこそプロの技が光ります。
高所作業で大切な連係
取り付け作業では、2人1組での連係プレーが基本です。鉄骨が吊られてくるタイミングに合わせて、1人がガイドロープで鉄骨の向きを調整し、もう1人がボルト穴を合わせます。
このとき、無線での「声かけ」と目線のやり取りが命綱となります。強風や足場の揺れがある中で、数センチのズレも許されない精度が求められるからです。
「アイコンタクト1つで動ける」。そんな関係を築くのが、鉄骨鳶の醍醐味でもありプロの証なのです。
鉄骨鳶に必要な資格は3つでOK

玉掛け技能講習は必須
まず最初に必要なのが玉掛け技能講習。これは、クレーンで吊る資材にワイヤーやフックをかける作業に必要な資格で、鉄骨鳶として働くには必ず必要です。
講習は2日間で修了可能。費用は1万5000円〜2万円程度で、自治体や建設業協会が定期的に開催しています。
未経験者でも受講できるので、鉄骨鳶を目指す第一歩としては最適な資格です。
とび技能士を目指そう
とび技能士は国家資格であり、鉄骨鳶としての技術と知識を証明する大きな武器になります。等級は1級〜3級まであり、3級なら実務経験なしでも受験できます。
現場では資格を持っていることで、任される仕事や給与が大きく変わります。資格を取得してからは、現場のリーダー的なポジションを目指す人も多くいます。
足場鳶からのステップアップにも有効で、長期的に見ればキャリアアップに欠かせない資格です。
高所作業車の運転資格も有力
もう1つ有力なのが高所作業車運転特別教育です。これを持っていれば、現場で高所作業車を使った作業も可能になり、対応できる現場の幅が広がります。
特に大規模現場では、高所作業車が使えるかどうかで作業効率が大きく変わるため、持っているだけで重宝される人材になれます。
受講時間は6時間程度で、費用も1万円前後と負担は小さいです。
鉄骨鳶の収入は日給3万円も夢じゃない!?
平均年収は400〜600万円
鉄骨鳶は、建設業界の中でも高収入な職種として知られています。全国平均で見ると、年収はおおむね400〜600万円ほど。地域や経験、所属する会社によっては、700万円を超えることもあります。
地方在住の30歳前後で、足場鳶から鉄骨鳶に転職した場合でも、初年度から月収30〜35万円を得るケースは珍しくありません。
特に鳶職は人手不足が続いており、やる気と技術次第で一気に収入アップが可能です。
日給制と月給制のちがい
鳶職の給与形態には大きく分けて日給制と月給制の2つがあります。
- 日給制:出勤日数に応じて収入が増減(例:日給2万5000円×24日=月60万円)
- 月給制:出勤日数に関係なく固定給(例:月40万円+賞与)
経験の浅い頃は日給制でスタートすることが多いですが、安定を求めて月給制の会社に転職する人も増えています。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、自分のライフスタイルに合う方を選ぶのがポイントです。
経験年数でどう変わるか
鉄骨鳶は、経験と技術がそのまま収入に直結する世界です。下まわりとして現場の流れを理解し、徐々に取り付け作業に関われるようになると、日給がアップしていきます。
例えば、未経験から3年で日給3万円を超える職人もいます。逆に技術が未熟だと、何年やっても収入は頭打ちになります。
だからこそ、資格取得や積極的な現場経験が重要になるのです。
鉄骨鳶の仕事は危ない?安全装備も紹介

命を守る安全帯とは
鉄骨鳶が作業するのは地上10メートル、20メートル、時には50メートルを超える高さです。だからこそ、安全装備は命綱そのものです。
現在主流なのは「フルハーネス型墜落制止用器具」と呼ばれる安全帯。腰だけでなく、肩・胸・脚をベルトで固定し、万が一の落下時でも身体を支える構造になっています。
装着方法や点検も講習で学ぶことができ、会社で支給されるケースも多数です。
声かけや合図が命をつなぐ
安全対策で重要なのは、装備だけではありません。現場では声かけ・合図・無線の連携が作業の精度と命を守ります。
例えば、鉄骨を吊る前には「行くよー!」という声かけが必須。玉掛け後に「OK!」と確認を取り、合図をしてから吊り上げる流れが徹底されています。
お互いの動きを予測し合う信頼関係がなければ、1秒の油断が命取りになる現場。だからこそ、日々のコミュニケーションが何より大切なのです。
強風や雨の日の判断
高所での作業は、天候の影響を強く受けます。とくに風速10m/sを超えると、クレーン操作や鉄骨の取り付けが難しくなり、現場によっては作業中止になります。
また、雨天では鉄骨や足場が滑りやすくなるため、現場監督の判断で休工になるケースも多いです。
ただし、安全装備や滑り止め対策を強化しつつ、作業スピードよりも安全を優先する意識が徹底されています。
鉄骨鳶は誇れる仕事か?やりがいの本音

地図に残る仕事を実感できる
「あのビル、俺が骨組み組んだんだよ」。そんな一言が言える仕事が、鉄骨鳶です。何十年、何百年と残る建物の“骨”を自分の手で作る――これは他の仕事では味わえない達成感です。
地元のランドマーク、誰もが知る商業施設、巨大な工場。それらを支える一員になれることは、家族にも胸を張って話せる誇りとなります。
「高所は怖い。でもその先には、一生に一度の達成感がある」。多くの鳶職人がそう語ります。
仲間との連係が力になる
鉄骨鳶の仕事は、チームワークが命です。無線での声のやりとり、目配せ、合図。命を預け合うような現場では、深い信頼関係が自然と育ちます。
現場で一緒に汗をかいた仲間とは、プライベートでも支え合える関係になることが多く、孤独や不安を感じる暇はありません。
現場が終わった後に「今日もありがとうな」と言い合える仲間がいる。それは給料以上の財産です。
成長やキャリアも見すえられる
鉄骨鳶として経験を積むと、現場リーダーや職長、さらに管理職を目指す道も見えてきます。とび技能士1級の取得や、CADを使った施工管理の知識も身につければ、現場から「指示する側」へと進むことも可能です。
さらに近年では、独立して鳶工事会社を立ち上げる職人も増えています。元請から直接仕事を請け負うようになれば、収入も大きく変わります。
「ただの作業員で終わりたくない」。そんな気持ちを持つ人にとって、鉄骨鳶は成長と挑戦のステージが用意された仕事です。
最後に——
「鉄骨鳶になりたいけど不安」「本当に稼げるのか」「命を守れるのか」。そんな思いがあるのは当然です。ですが、その先にあるのは、誰にも真似できない誇りある仕事。
あなたが今まで培った現場経験は、決して無駄にはなりません。必要な資格を取り、ひとつひとつ段取りを覚えれば、3年後にはリーダーとして空を見下ろすポジションに立てるかもしれません。
迷った今が、始めどき。鉄骨鳶という選択が、あなたの人生を変える一歩になりますように。
まとめ 鉄骨鳶のリアルを知りキャリアの一歩を踏み出そう
今回は、鉄骨鳶の仕事内容・必要な資格・年収・安全対策・やりがいについて紹介しました。
- 「下まわり」と「取り付け」で分かれる
- 資格3つで年収600万円も可能
- 危険もあるが安全対策で対応
鉄骨鳶は、高所で鉄骨を組み上げる仕事で「現場の花形」とも呼ばれています。作業は地上の段取り担当「下まわり」と、高所での取り付けを担うチームに分かれ、チームワークが欠かせません。
資格は「玉掛け」「とび技能士」「高所作業車運転」の3つを取れば一人前に近づけ、未経験からでも比較的早い段階で年収400〜600万円が目指せます。
危険な作業だからこそ、安全帯や合図、声かけでしっかり命を守る体制が整っており、仲間と支え合いながら成長できる現場です。
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