「将来は現場でチームをまとめる職長になりたいけど、資格って必要なのかな?」
「職長として活躍するための資格を今のうちに知っておきたい」
建築業界でキャリアアップを目指すなら、必要な資格などを事前に把握し、準備しておきたいですよね。
結論からお伝えすると、職長になるために必要なのは「資格」ではなく、建設現場での安全や管理を学ぶ「職長・安全衛生責任者教育」の受講です。
これは労働安全衛生法で義務付けられており、職長として現場に立つための必須要件。
誰でも受講でき、試験ではないため不合格になる心配はなく、受講を終えれば要件を満たせます。
とはいえ、十分なスキルや経験が伴わない形だけの受講では意味がないため、入社してから3〜4年ほど経験を積んだ上で受講するのが一般的です。
もしもあなたが以下のような資格をすでに取得しているのであれば、会社からの評価も高まり、職長を目指す際に大きな強みとなります。
- 一級技能士
- 二級技能士
- 施工管理技士
一方で、会社選びを誤ってしまうと、どんなに努力しても職長を任せてもらえないということもあり得ます。キャリアの選択肢や成長のスピードは、どの会社に入るかで大きく左右されるのです。
そこで本記事では、職長として活躍する未来により近づけるよう、下記について解説します。
【この記事を読むとわかること】 |
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お読みいただくことで、自分に必要な講習や資格が明確になり、順序立てて準備できるようになります。
ぜひ最後までお読みいただき、職長を目指すための具体的なステップを整理していきましょう。
1. 職長に必要なのは資格ではなく「職長・安全衛生責任者教育」の受講

冒頭でもお伝えしたように、職長として現場に立つのに特別な「資格」は必要ありません。
その代わりに、法令で定められた教育(通称「職長教育」)を受けることが義務付けられています。
事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
一 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。
二 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。
三 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの引用:労働安全衛生法第60条
資格こそ必要ないものの、職長は、現場の安全を守りながら作業全体の流れをコントロールするという、現場の重要な役割を担っています。作業員が安全に業務を遂行できるだけでなく、現場の環境改善や災害時にも柔軟に対応できるスキルが求められます。
そのため、職長として必要なスキルを、「職長教育」を通して習得する必要があるのです。
なお、職長の他に「安全衛生責任者」も現場に置かれますが、両方を専任で配置すると労力やコストが大きいため、職長が安全衛生責任者を兼任するケースがほとんどです。
そのため、教育も別々ではなく「職長・安全衛生責任者教育」 として一体型の講習が行われ、職長候補者はこれを受講するのが一般的になっています。
(※安全衛生責任者と職長の違いについては、「職長」で解説していますので、ご参照ください)
次章では、この「職長・安全衛生責任者教育」の内容やスケジュール、費用などをご紹介します。
【「作業員○名につき職長1名」「この現場には職長◯名」といったルールはない】 |
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実は、ひとりの職長が作業員を何人までまとめられるかという明確なルールはありません。 そもそも「現場に必ず職長を置かなければならない」という決まりがないため、当然「作業員○名につき職長1名」といった基準も設けられていないのです。 ただし、現場の規模や作業内容によっては、ひとりの職長が全体をまとめるのは難しい場合があります。 たとえば大規模な工場現場で、複数のグループに分かれて異なる作業を行う場合、各グループに職長を配置しなければならないケースもあります。 つまり「何人まで」というよりも、作業の区分や現場の安全確保を考慮して必要な人数だけ職長を置くのが実務的な運用なのです。 |
2. 「職長・安全衛生責任者教育」の概要

本章では、職長として現場で活躍するために必要な知識を体系的に学ぶ「職長・安全衛生責任者教育」の全体像を整理してご紹介します。
【職長・安全衛生責任者教育の概要】
項目 | 内容 |
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受講条件 | なし(誰でも受講可能) |
受講内容・スケジュール | 合計14時間の教育(職長教育相当分12時間+安全衛生責任者教育相当分2時間)を、2日間(会場に出向いて受講する一般講習の場合、連続する2日間)で受講。
【職長教育相当分】(計12時間)
【安全衛生責任者教育相当分】(計2時間)
参考: |
受講料の目安 | 15,000〜21,000円程度 ※多くの業界団体や民間教習機関で開講されており、受講料にも幅があります。 ※会社負担での受講が一般的です。 |
受講方法 |
全国の各種教育機関で受講
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受講するための条件は一切なく、誰でも受講可能です。
この教育を受講することで、職長に求められる安全管理や作業指導の基礎をひと通り学べます。
【受講後も一定のタイミングで再教育が推奨されている】 |
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職長・安全衛生責任者教育を受講すると、修了証が発行されますが、この修了証に有効期限や更新義務はありません。つまり、一度受講すればずっと有効です。 しかし、厚生労働省の通達により、安全意識の維持や職場の事故防止の観点から、以下のタイミングでの再教育が推奨されています。 ・概ね5年ごと ・機械設備等に大きな変更があった場合 |
3. 実際に「職長・安全衛生責任者教育」を受講するのは「入社3〜4年目」の選ばれた人

「受講するための条件は一切ない」と前章でお伝えしました。
「じゃあ、入社してすぐに受けてしまえば、早く職長になれるんじゃないの?」
そんな風に思った人もいるかもしれません。
確かに、受講に年齢や経験年数の制限はありません。ですが、実際には入社3〜4年目くらいで、かつ一定の実力が認められた人が受講するケースがほとんどです。
以下は、仮設工事会社の現場社員が、職長・安全衛生責任者教育を受講するタイミングのイメージです。
【職長・安全衛生責任者教育の受講タイミングのイメージ】 | |
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1年目で受講 | いないわけではないが、例外的。 相当な実力が認められている人に限られる |
3〜4年目で受講 | 真面目に仕事をする中で技術を身につけ、会社からの信頼を得て、自然に職長候補となるパターン(もっとも一般的) |
5年目で受講 | 少しゆっくりめ。着実に力をつけてから挑戦するパターン |
実際、10代のうちに職長になるというのは、かなり珍しい部類です。
それには次に挙げるような理由があると考えられます。
- 18歳未満は足場に上がれないため
18歳未満の高所作業は法律で禁止されています。仮に16歳から仕事を始めても、2年間は足場に上がれません。そこからさらに数年の経験が必要になるため、どうしても10代で職長になるのは難しいのです。 - 職長には現場経験と信頼が欠かせないため
職長は作業の指示や安全管理を担う立場です。半年や1年の経験では現場理解も浅く、仲間からの信頼も十分ではありません。やはり数年の実務経験を積んでからでないと任されにくいのです。
このように、受講に年齢や経験年数の制限はないとはいえ、現場では「3〜4年目で経験を積んだ人」が選ばれるのが現実的な流れなのです。
私たち株式会社エルラインでも方針は同じです。
「まずは入社後に作業の基本をしっかり覚える。その上で、真面目に頑張って一定のレベルに達したら、3年目くらいで職長教育を受けてもらうのが理想的だよね」
――そんな考えで社員を指導しています。
4. すでに「一級・二級技能士」や「施工管理技士」の資格を持っている場合は職長を目指すための武器になる

前章をお読みいただき、誰でも職長・安全衛生責任者教育を受講できるものの、多くの場合は入社して3〜4年目になってくることがご理解いただけたでしょう。
ですが、すでに特定の建設関連の資格を取得していれば、職長を目指す上で大きな武器となります。
必須条件ではないものの、自分のスキルを裏づける強力な証明となり、現場での信頼を高めてくれるからです。
建設業界において武器となるような資格の代表格には、とび、左官、鉄筋施工、型枠施工など、各工種における一級技能士(もしくは二級技能士)や施工管理技士といった国家資格があります。
- 「一級とび技能士」=確かな技術と知識を備えた職人として評価される
- 「施工管理技士」=現場全体を統括する力がある人材として会社から高く評価される
これらの資格は、単なる講習では身につかない「高度な技術力」や「現場全体を把握する力」を客観的に示せる指標であり、強力なアドバンテージになります。
前職での経験を通じてすでに該当する資格を取得している場合は、新しい勤務先に対して自分の実力をアピールする際の大きな強みとなります。
資格を持っていないと不利というわけではありませんが、現場を任される存在になることを目指す上で、資格が大きな強みになるのは間違いありません。
参照:
中央職業能力開発協会「技能検定のご案内」
国土交通省「技術検定試験について」
【1級施工管理技士の受検のチャンスは年に一度だけ!】 |
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1級施工管理技士の技術検定試験は、年に一度しか受検の機会がありません。(2級であれば年2回あります) つまり、チャンスを逃してしまうと、次の受検はまた1年後。 せっかく「挑戦してみよう」と思っても、受検できるのは先延ばしになってしまいます。 少しでも受検を考えているなら、まずは試験日程を確認しておきましょう。 |
5. 無資格から職長を目指すなら「正当に評価してくれる会社」を選ぼう

資格は武器になると前章でお伝えしました。
ですが、業界未経験の無資格の新人が最短で職長を目指すにはどうすれば良いのでしょうか。
結論から言えば、「正当に評価してくれる会社」を選んで仕事に誠心誠意打ち込むことが大切です。
たとえば年功序列が色濃い会社の場合、「まだ若いから」という理由だけで、昇格が見送られるといったことがあるでしょう。
あるいは、評価や昇格の基準があいまいだと、どれだけ努力しても報われない可能性があります。
一方で実力主義の会社なら、年齢に関係なく、日々の成果や現場での働きをしっかり評価してもらえます。評価や昇格の基準が明確なら、実績がキャリアや給与にきちんと反映されます。
評価体制が整っている会社であれば、無資格であっても真面目に仕事に励み、実力を示すことができれば、職長のチャンスが巡ってくるのです。
「仕事ぶりで評価してくれる環境」と「透明性のある評価制度」が整った会社を見極めるには、
- 会社HPや求人情報をチェックする(キャリアアップ支援制度の有無)
- 職場や現場を実際に見てみる(年功序列の空気感)
- 面接や見学で直接質問する(評価制度の詳細)
といったアプローチが有効です。
「正当に評価してくれる会社」であれば、頑張りが認められて職長教育を受ける機会も早期に与えられ、その先に職長としてのキャリアが開けていきます。
加えて資格取得を後押ししてくれる制度があれば、キャリアアップはさらにスムーズになるでしょう。
【将来につながるキャリアを育てる土台がある。だからエルラインで始めてみる】 |
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![]() 建設業界の仕事に興味があり、「職長を目指してみたい」と思った方へ。 同じ目指すなら、キャリアを育てる土台やキャリアアップを後押ししてくれる環境で、安心して挑戦したいですよね。 そんな場所のひとつが、業界をリードする株式会社エルラインです。 【正当な評価と実力主義】 スキルに応じて等級が上がり、基本給に直結する給与体系で、あなたの努力や成果を正当に評価します。 年次や年齢に関係なく、半期ごとの自己申告目標の達成度が評価に反映される仕組みです。 若手ベテラン関係なく公平に評価していますので、職長も、頑張り次第で早くになれる機会もありますよ。 【充実した教育体制で成長をサポート】 座学やOJT、外部研修などのほか、動画コンテンツ「エルラインアカデミー」も活用した充実の教育体制があります。 「職人だから現場で先輩の技を見て覚えればいい」という時代では、もうありません。 職人として成長するためのスキルや、職長として必要な知識を、体系的に習得できる体制を整えています。 【幅広い経験を積める多彩な現場】 エルラインでは、足場工事を基盤に施工管理の派遣、太陽光発電など幅広い事業を展開。 グループ売上160億円、グループ全社員数500名以上という規模を誇ります。 会社規模だけがすべてではありませんが、携われる現場の幅広さという点では、中小規模の事業者より圧倒的に有利です。 エルラインでは、大型案件を中心に多彩な現場を手がけており、日々の業務を通じてさまざまな施工方法や管理手法を無理なく学べます。 多彩な現場で多くの経験を積めば、それだけ職長というキャリアも近づきやすくなるため、職長を目指す人にとっては、理想的な環境です。 《こんな方におすすめ》 ・同じチャレンジするなら、自分の力を思い切り試したい方 ・スキルや成果が正当に評価される環境で成長したい方 ・手に職をつける以上、できるだけ幅広いスキルを身につけたいと考えている方 ・職長として現場で責任ある役割を担う将来像を思い描き始めた方 少しでも気になった方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 実際の現場の見学も受け付けております。(交通費全額支給) |
6. まとめ
職長となるのに資格は不要であることと、職長を目指す場合に役立つ情報をご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
▼職長となるのに資格は不要。ただし職長・安全衛生責任者教育の受講が必要
▼職長・安全衛生責任者教育は、年齢や経験年数など関わりなく、誰でも受講可能。
合計14時間の内容を、2日間で学ぶ
▼職長・安全衛生責任者教育は、入社3〜4年目のタイミングで受講する人が多い
▼「一級・二級技能士」や「施工管理技士」の資格をすでに持っている場合、職長を目指す上で強力な武器となる
▼仕事ぶりを正当に評価してくれ、評価基準も明確な会社を選ぶことが職長への近道となる
本記事が、建築業界で職長として活躍する未来を思い描いている皆様の道しるべとなりましたら幸いです。
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