
水野源太
株式会社エルライン 社長室 1級電気工事施工管理技士
新卒で大手総合設備会社に施工管理として就職し、大型現場の再開発工事を経験。その後、建設人材派遣会社へと移り、複数現場で施工管理としての実務経験を積む。1級電気工事施工管理技士に合格したのを機に、同社の本社へと出向し、教育に携わる。2024年4月にエルライングループにジョインし、教育や採用、広報・デジタルマーケティング・新規事業開発などに従事。


水野源太
株式会社エルライン 社長室 1級電気工事施工管理技士
新卒で大手総合設備会社に施工管理として就職し、大型現場の再開発工事を経験。その後、建設人材派遣会社へと移り、複数現場で施工管理としての実務経験を積む。1級電気工事施工管理技士に合格したのを機に、同社の本社へと出向し、教育に携わる。2024年4月にエルライングループにジョインし、教育や採用、広報・デジタルマーケティング・新規事業開発などに従事。
「建設キャリアアップシステム(CCUS)って何だろう?」
「どんな仕組み?自分にも関係あるのかな?」
そんな疑問や不安を抱いて、この記事にたどり着かれた方は多いでしょう。
なかには、就活の際に「CCUS登録事業者」という言葉を知って、登録していない会社とどちらが良いのか迷った人もいるかもしれません。
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設業で働く技能者(職人)のスキルや経験を見える化し、技能者の頑張りを正しく評価できる仕組みです。
ただ、名前だけ知って終わりにするのはもったいない。これから建設業で働くなら、
・なぜシステムがつくられたのか
・具体的にどんな仕組みか
・登録事業者(企業)に入社すると何が有利か
を理解しておくと、会社選びや将来設計がぐっと楽になります。
この記事では、システムの概要に加え、
| ・技能者に直接効くメリット ・事業者側の導入メリットがあなたの働き方へ及ぼす良い連鎖(波及効果) ・費用面のデメリット |
といった内容を、図や表を交えてやさしく解説します。
最後まで読んでいただければ、建設キャリアアップシステムが、あなたのキャリアと日々の現場にどう関わるのかが具体的にイメージできるはずです。
それではまず、建設キャリアアップシステムが必要とされた背景と仕組みから見ていきましょう。

建設キャリアアップシステムとは、建設業で働く技能者(職人)のスキルや経験を見える化し、管理をしやすくすることで、技能者の頑張りを正しく評価できる仕組みのことです。
正式な英語表記は「Construction Career Up System」。各単語の頭文字を取り、略称として通常、CCUSと表記されます。
・技能者がどんな現場で、どんな立場でこれまで働いてきたのか
・どんな資格取得や研修を経て、成長してきたのか
・どれくらいの期間、現場のリーダーとして経験を積んできたか
上記のようなデータを記録し、システムを通して閲覧できるようにすることで、技能者を客観的に評価し、将来のキャリアアップや待遇改善につながります。
ではもう少し詳しく、建設キャリアアップシステムの概要を解説していきましょう。
建設キャリアアップシステムが開発された背景には、建設業界を取り巻く、下記のような悪循環が挙げられます。

建設技能者は通常、さまざまな会社(事業者)や現場で日々働いています。そのため、「誰がどこの現場で、どんな役割を果たしたのか」が見えにくくなっていました。
「経験豊富なのに、賃金が上がらない」
「管理能力があるのに、役職に就けない」
といった、自分の頑張りが正しく評価されない現状があったのです。
そうなると、これから建設業で働く世代(若い世代)は特に、「この業界で長く働けるのか?」「一生食べていけるのか?」と不安に感じやすくなり、入職をためらう人が増え、業界全体で人材不足が深刻化します。
建設業で働く人が高齢化することも手伝って、熟練者に負担が集中。
長時間労働や安全リスクの増加など、現場の状況が悪化して、正当な評価がされにくくなるという悪循環となるわけです。
建設キャリアアップシステムは、この悪循環の連鎖を断ち切るために生まれた仕組みといえます。
技能と経験をデータとして可視化することで、
「努力すればきちんと評価される」
「経験が待遇に反映される」
という安心感をつくり、若手が将来を描ける業界に変えていくことが狙いなのです。
では、具体的にどのようにして、スキルや経験を見える化し、技能者の正当な評価を行うのでしょうか。
建設キャリアアップシステムの仕組みとして、下記のように、まずはシステムへの情報登録を行います。

技能者と事業者登録については、それぞれ下記のような情報を入力します。
| 主な技能者登録の内容 | 主な事業者登録の内容 |
|---|---|
| ・本人情報 ・所属事業者名/所属事業者ID ・職種 ・社会保険等の加入状況 ・保有資格 ・研修受講履歴 など |
・所在地 ・資本金 ・建設業許可情報 ・業種・社会保険加入状況 など |
技能者情報に事業者の情報を関連付けることで、「どの技能者が、どの職種・立場で、どれくらいの期間現場に入るか」を登録できる仕組みです。

技能者登録が完了すると、技能者に「キャリアアップカード」が発行されます。
キャリアアップカードを現場に設置されるカードリーダーなどにかざすことで、キャリアアップシステムに「現場△△でに、A会社の〇〇さんが働いた」という就業履歴が蓄積されていくのです。
蓄積された就業履歴は、登録された保有資格や研修受講履歴などとあわせて、建設業各分野の能力評価実施団体によって、技能者のレベル判定に用いられます。

上の図のように、一定の基準をクリアすることで、カードが1~4までの区分で、レベルアップしていきます。
能力評価の基準は、国土交通省に認定を受けた、全国共通のものですから、従来よりも客観的な評価を受けられる、経験・技能に応じた待遇が受けやすくなる、ということです。
また、会社に所属する技能者のレベルや人数が公表されるため、「この会社にはレベルの高い技能者が揃っている」などと施工能力の評価につながるという効果もあります。
技能者個人の頑張りだけでなく、会社の施工能力の見える化もでき、適切な評価を得やすくなるということです。
「技能者登録はどうすれば良いのか」「キャリアアップカードについて詳しく知りたい」という方は、こちらの関連記事で解説しています。
ぜひあわせてご参照ください。
「キャリアアップカードとは?基本・手続きの流れ・必要性を解説」

建設キャリアアップシステムの概要を確認したところで、続いては、技能者にとってどんなメリットがあるのか、見ていきましょう。
具体的には、以下の3つのメリットがあります。
| 【建設キャリアアップシステムの技能者へのメリット】 ・2-1. キャリアや資格が記録され、客観的に証明できる ・2-2. 自分のレベルがわかり、次の目標を立てやすい ・2-3. 退職金が確実に積み立てられる |
システム利用のメリットとして、技能者が積み上げてきたキャリアや能力が客観的に証明しやすいことがまず挙げられます。
技能者の保有資格や、これまでに受講した講習の履歴はもちろん、「いつ・どこで・どんな立場で働いたか」という就業履歴も、システムを介して閲覧できるからです。
現場や会社が変わっても、「これまでの経験」を自分のデータとして提示できます。
例えば、次のような場面で「働いた証拠」として、客観的な証明となるため、トラブルに対応しやすくなります。
| 場面 | 効果 |
|---|---|
| 労災事故が起きたとき | その現場で勤務していた証明になり、手続きがスムーズになる |
| 賃金未払いが発生したとき | 働いた日数や現場がデータで残っているので、正当な支払いを求める根拠となる |
| 社会保険加入のトラブルが起きたとき | 「この人は就業中=保険加入対象である」と裏付けられ、不当な扱いから身を守れる |
技能者の経歴や経験、働いた事実が疑われた際の安心材料になるということです。
建設キャリアアップシステムでは、カードが4つのレベルで区分され、自分が技能者としてどの位置にいるのかが一目でわかります。
そして、具体的に、
・どのくらいの期間働けば良いか(就業日数)
・どんな資格を取得したら良いか(保有資格)
・現場リーダーとしてどのくらい経験があるか(職長経験)
といった能力評価の基準が、国土交通省によって設定されているため、レベルアップのために次に何をすれば良いのか、具体的に目標を立てやすい利点があります。
「次はこの資格を取ろう」
「次のレベルを目指して、職長を任されるように頑張ろう」
といった、「働くこと・学ぶこと」へのモチベーションを高める効果も期待できます。
また、キャリアアップカードのレベルは、昇給や手当の目安として使われることも多く、「将来どのくらいの待遇を目指せるか」を考えやすくなるでしょう。
退職金がきちんと積み立てやすくなるという点も、メリットの一つです。
建設業の退職金制度として、国が設けた「建設業退職金共済(建退共)」があります。
建設業の事業者が、技能者の働いた日数に応じて掛金を納付し、建設業で働くことをやめた際に、建退共から技能者本人に、退職金が支払われる制度です。
しかし、建設業技能者は、さまざまな会社・現場で働くことが多いので、
「手続きを忘れていた」
「別の会社に移ったら、記録がうまく引き継がれなかった」
といった理由で、掛金がきちんと積み立てられないケースがあります。
その点、建設キャリアアップシステムでは、現場でカードをかざすだけで、働いた記録と建退共の掛金が自動で紐づきます。
会社が変わっても退職金の記録が一元管理されるため、「働いた分の退職金が将来ちゃんと戻ってくる」という安心感が得られるでしょう。

建設キャリアアップシステムを導入することで、事業者側にも、下記のようなメリットがあります。

こうした事業者へのメリットは、現場で働く技能者にも以下のような形で確実に波及するでしょう。
代表的な波及効果として、次の3つが挙げられます。
| 【技能者への波及効果】 ・3-1. 現場が効率化し、働きやすくなる ・3-2. 安定して仕事ができる ・3-3. スキルアップの支援が受けやすい |
まず、現場が効率化し、技能者がより働きやすくなる効果が期待できます。
建設キャリアアップシステムが導入されている現場では、
・入退場管理(出勤管理)
・出面管理(勤務日数の記録)
・作業員名簿/施工体制台帳(現場の体制をまとめた書類)
の自動化やペーパーレス化など、デジタル技術による業務プロセスの変革(DX化)が進むからです。
紙媒体での事務作業が効率化できれば、手書きの誤記や集計ミスによるモヤモヤがなくなりますし、現場作業に集中しやすくなります。
また、保有資格や講習の受講履歴がシステムを通してすぐに確認できるということは、現場に適切な人材がきちんと配置されやすくなるということです。
資格・講習未了の人が紛れにくくなり、安全面の不安が軽減されて、より働きやすい環境になるでしょう。
安定して仕事がしやすい、というのも大きな効果と言えます。
建設キャリアアップシステムが導入されている現場であれば、
・会社の施工能力の見える化で、人材力を取引先にアピールでき、信頼度アップにつながる
・公共工事などで評価点が向上し、大きな案件の受注にも結び付きやすい
といった流れから、安定的に案件を確保でき、仕事が途切れにくくなるからです。
受注基盤が強まって、急なキャンセルのリスクが下がるため、収入の計画が立てやすくなります。
良い現場に入りやすくなる、より多くの学びがある現場に配属される、といったキャリアアップの機会も得やすくなるでしょう。
建設キャリアアップシステムで、技能者の資格や就業履歴が見える化されると、事業者側は「誰が何をできるのかの一覧」を作成可能です。
その結果、「誰に何が足りないか」が一目でわかり、講習の設定や人員配置など、育成投資の計画が立てやすくなります。
例えば、ある技能者がレベルアップするためには、高所作業の特別教育と、玉掛け(クレーンで荷を吊るす作業の資格)が不足しているとわかれば、事業者は次のような具体策を打てます。
・必要な講習を会社主導で手配する
・次の現場で職長補佐(現場のサブリーダー)に配置し、経験を積ませる
こうして得た講習・役割経験は、就業履歴に自動で積み上がるため、評価や昇給・手当の根拠になります。
技能者個人でレベルアップの計画を立てるだけでなく、事業者側の後押しが加わることで、無駄のないステップアップが実現できるでしょう。

ここまで、建設キャリアアップの技能者のメリットと、事業者のメリットの波及効果をお伝えしました。
「良いことばかりで、デメリットはないのか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
結論から言いますと、技能者にとってのデメリットは、技能者登録の際、登録料がかかることです。
登録のタイプには「簡略型」と「詳細型」の2つがあり、それぞれ特徴が異なります。
| 種類 | 簡略型 | 詳細型 |
|---|---|---|
| 登録料 | 2,500円(税込) | 4,900円(税込) |
| 登録項目 | 以下7項目 ・本人情報 ・所属事業者情報 ・職種 ・経験等 ・社会保険 ・建退共 ・中退共 |
簡略型+以下7項目(計14項目) ・労災保険特別加入 ・健康診断 ・学歴 ・登録基幹技能者資格 ・保有資格等 ・研修等受講履歴 ・表彰履歴 |
| レベルアップ | × | 〇 |
| 主な目的 | 経歴の記録 | 経歴の記録+スキルの可視化など |
| おすすめの人 | カードのレベルアップをする予定がない | 将来的にカードのレベルアップを行いたい(レベル判定を受けたい) |
参考:建設キャリアアップシステム
「No926 技能者申請において「簡略型」と「詳細型」の違いを教えてください。」
「CCUSについて」

なお、事業者によっては技能者登録を代行した上、登録料を補助してくれる場合もあります。
また、一度登録すれば、カードの有効期限は最長10年(発行日から発行9年経過後最初の誕生日まで)ですので、更新の頻度も高くありません。
その点を踏まえれば、登録料としてさほど高額ではなく、大きなデメリットにはならないでしょう。
|
事業者側には、登録料以外のコストと運用負担もある
|
|---|
| 技能者へのデメリットは主に登録料のみですが、事業者側には、次のような費用と体制整備の負担が発生します。 まず、初期費用として、 【事業者登録料】 固定費として、 【管理者ID利用料】 【現場利用料】 がかかります。 また、利用料以外にも、現場へのカードリーダー設置や、システム管理に用いるPC環境の整備にもコストがかかるでしょう。 社内のシステム運用担当者の配置をしたり、記録・確認フローのルール化を図ったり、業務体系の変更について、社内のへの通知・教育も必要です。 |

ここまで、建設キャリアアップシステムの仕組みや、メリット・デメリットを一通り確認しました。
登録料というデメリットはあるものの、就業履歴の「見える化」や評価への反映、現場運用の効率化により、技能者の日々の働きやすさや将来のキャリア形成に役立つとご理解いただけたでしょう。
だからこそ、これから建設業で働くなら「CCUS登録事業者」を選ぶのが安心です。
実際、国が登録を推奨していることもあり、2025年7月末時点での登録状況は下記の通りです。
・技能者170万人(労働力調査(R5)における建設業技能者数:300万人のうち)
・事業者29.9万社
・就業履歴累計2.1億件
公共・大規模現場では、実質的に登録・運用が前提というケースが増えています。
現時点(2025年9月時点)では登録は任意となっていますが、将来的に登録が義務化される可能性は高いでしょう。
今の時点で登録事業者であれば、「2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者へのメリット3つ」「3. 建設キャリアアップシステムの事業者へのメリットによる、技能者への波及効果3つ」で解説した内容のほか、下記のようなメリットも期待できます。

今からCCUS登録事業者で経験を積んでおけば、入退場のタッチだけで、就業履歴が自動で貯まり、評価や手当の根拠が早い段階から整います。
結果として、未登録の会社よりも将来のキャリア形成で有利になりやすいでしょう。
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エルラインは「CCUS登録事業者」として技能者の成長をサポートします
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![]() 株式会社エルラインは、CCUS登録事業者です。 実習生を含む全ての新入社員に対し、入社時に必ずキャリアアップカードの申請を実施しています。 大手ゼネコンとの取引実績もあり、キャリアアップカードのレベルが評価の条件となる現場にも対応しています。 「業界を代表する現場でいずれ活躍したい」 そんな方は、ぜひ、私たちと一緒に技能者としての経験を積み上げていきませんか? また、エルラインには、技能者一人ひとりの成長を真剣にサポートできる、次のような強みがあります。 【安心の教育体制】 【先輩のフォロー+オンライン学習】 【必要な資格の取得費用を全額負担+公正な評価制度】 【働きやすい環境と相談体制】 エルラインは、「職人の頑張りを正しく評価し、本気でキャリアアップを支援する」という土台を大切にしています。 建設業界で長く安定して働きたい方はぜひ、募集要項をご覧ください。 |
この記事では、建設キャリアアップシステムについて、解説しました。
最後に、記事の要点を振り返りましょう。
建設キャリアアップシステム(CCUS)とは、建設業で働く技能者(職人)のスキルや経験を見える化し、管理をしやすくすることで、技能者の頑張りを正しく評価できる仕組みです。
| 【建設キャリアアップシステムの主な仕組み】 ・技能者を登録して「キャリアアップカード」を発行(本人情報や資格、講習履歴などを登録) ・カードをカードリーダーで読み取り、就業履歴を記録 ・蓄積データを能力評価実施団体が全国共通基準でレベル(1〜4)判定 ・資格や役割経験に応じてカード等級が上がることで、昇給・手当・配置の目安にできる |
技能者へのメリットは、下記の通りです。
| 【建設キャリアアップシステムの技能者へのメリット】 ・キャリアや資格が記録され、客観的に証明できる ・自分のレベルがわかり、次の目標を立てやすい ・退職金が確実に積み立てられる |
そして、事業者へのメリットによる技術者への波及効果としては、以下の3つがあります。
| 【技能者への波及効果】 ・現場が効率化し、働きやすくなる ・会社の信頼アップから、安定して仕事ができる ・スキルアップの支援が受けやすい |
技能者へのデメリットとして、登録料がかかることが挙げられますが、メリットのほうが大きいでしょう。
これから建設業で働くなら、CCUS登録事業者を選ぶことをぜひ、会社選びの判断基準の一つにしてください。
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