「鉄筋工ってどんな仕事なんだろう、、、」
「自分にできるんだろうか、、、」
鉄筋工という言葉は知っているし、聞いたことはあるけど
・具体的にどんな仕事をするんだろうか?
・お金はどれくらい稼げるのか?
・きついところはどんなところなのか?
実際のところはどうなんだろう?と思いますよね。
そこで本記事では、鉄筋工事の専門家である大成鉄筋工業株式会社を傘下に持つ株式会社エルラインが、鉄筋工の仕事内容やきついところ、年収や向いている人の特徴、キャリアパス等について解説していきます。
エルライングループとして、数多くの鉄筋工を抱えているからこそ話せる内部事情も合わせてお伝えしていくので、最後までご覧ください。
鉄筋工の仕事内容とは?

鉄筋工とは、一言でいうと「鉄筋を組み上げる仕事をする職人さんのこと」です。
より詳細に説明すると、建築や土木工事においてコンクリートの内部に配置する鉄筋(補強鉄筋)の加工や組立て、配置作業(配筋作業)を専門とする仕事です。
建築が一番イメージしやすいと思うので、具体例を挙げて説明します。
有名な建築物で言うなら「日本武道館」が鉄筋コンクリートを使った建物です。建設業の用語でRC造と呼ばれるものです。
建物は地震が起こっても耐えられるような強度を発揮する必要があります。そこで建物の構造体としてコンクリートと鉄筋を使用します。鉄筋を構造体に使うことで、地震に耐えられたり、建築基準法をクリアするような強度を発揮することができます。鉄筋工の仕事はこの鉄筋をくみ上げることです。
実施に鉄筋を配置していくことを「配筋作業」と言ったりしますが、鉄筋工の仕事は配筋以外にもスペーサーを配置していったり、搬入作業があったり、施工図を作成したりと多岐にわたります。この辺については後ほど詳しく説明しますが、具体的な仕事内容としては下記の様なものがあげられます。
主な作業内容 | 具体的な仕事内容 |
---|---|
鉄筋の加工 | 図面や加工帳をもとに、必要な長さ・形状に鉄筋を切断・曲げ加工する |
加工済み鉄筋の現場搬入 | 加工された鉄筋を建設現場へ運び入れる |
配筋作業 | 鉄筋を図面通りに配置し、結束線(番線)で結ぶ |
スペーサー設置 | コンクリート内で鉄筋の位置やかぶり厚さを保つためのスペーサー(定着材)を設置する |
継手・補強 | 必要に応じて複数の鉄筋の継手や補強をする |
検査対応 | 配筋作業後に監督・検査員による配筋検査を受ける |
鉄筋工の仕事はコンクリート構造物の強度や安全性を確保するために不可欠な存在であり、マンションやビル、橋梁、高速道路など、多くのインフラを支える重要な役割を担っています。
鉄筋工と鉄工(鉄骨工)の違い
鉄筋工に似た言葉で「鉄工」と呼ばれるものがあります。混同しやすいので、違いを理解しておきましょう。
鉄筋工と鉄工の違いは「工事するのが鉄筋か?鉄骨か?の違い」です。
鉄筋工は主にコンクリート内に入れる「鉄筋」の加工・組立て・組立設置(配筋)が仕事となります。一方、鉄工は橋や建物の骨組みとなる「鉄骨」や金属部品の加工・組立て・溶接など、構造全体や金属部材に関わる作業を担当します。
先ほどの説明で鉄筋はRC造の建物に使うと説明しましたが、鉄骨はS造のものです。鉄筋と鉄骨は全く違うものですので、違いを理解しておきましょう。
鉄筋工の役割(構造体の強度向上)
ここでもう少し鉄筋工の役割について説明していきます。
鉄筋工の役割は一言でいうと「構造体の強度向上」です。
コンクリートの中に配置する鉄筋の設計・施工を通じて、構造物が地震や風圧、日常的な荷重など様々な力に耐えるための「強度」を生み出しています。鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)を含む多くの建築物は、鉄筋工の高い技術によって安全性が確保されています。
コンクリートは圧縮力には強い一方、引張力には弱いという弱点があります。そこで、引張力に強い鉄筋をコンクリート内部に効果的に配置することで、両者の長所を活かした強固な構造体を作り上げます。
鉄筋工の役割は、設計図面通りに正確な本数・太さ・間隔で鉄筋を配筋し、建物の耐震性や耐久性を飛躍的に高めることです。誤った施工や配筋ミスがあれば、建物全体の安全を脅かすため、極めて高い精度と責任感が求められます。
鉄筋コンクリートの利用事例:住宅、ビル、橋梁、トンネルなど
近年では地震対策の重要性が高まる中、安心して暮らせる街づくりに欠かせない職種です。鉄筋工の施工が正確でなければ、建物の耐震基準を満たすことができず、重大な事故につながるリスクもあるため、専門技能と知識、そして確かな現場経験が求められています。
このように、鉄筋工は目立たない存在でありながらも、私たちの生活や社会基盤の根幹を支える、非常に重要な役割を果たしています。
鉄筋工事の流れ
鉄筋工は建設現場において鉄筋工事を担当する訳ですが、一通りの流れについて説明していきます。
おそらく新人として現場に入ると「配筋」の部分であったり「搬入」の部分で会ったり「段取り」から始めることが多いです。ただ一通りの流れとして、全体感を理解しておくとより仕事しているイメージが湧きやすいと思います。
先に全体の流れを簡単に表で説明して、その後、それぞれに対して細かい説明をしていきます。
工程 | 主な内容 | ポイント・注意事項 |
---|---|---|
加工帳・施工図作成 | 設計図から詳細な加工帳・施工図を作成 | 正確な図面・帳票作成、段取りの明確化 |
鉄筋の搬入 | 現場への運搬・仕分け | 現場の整理整頓、効率的な配置 |
配筋の加工・段取り | エリアごとの準備と確認 | スペーサーの用意や数量把握 |
配筋工事 | 現場での鉄筋組立・結束 | 設計通りの配置・結束厳守 |
篏合(かんごう) | 複雑な鉄筋接合部の調整 | 交差部・継手の誤差防止 |
施工図と現場の照合 | 実物と図面の最終チェック | ダブルチェック、記録管理 |
配筋検査 | 設計通りの配筋か第三者機関が検査 | 全項目の合格を確認 |
加工帳・施工図の作成
まず、設計図(構造図)をもとに、どの部位にどの太さ・本数の鉄筋をどのように配置するかを示す「加工帳」「施工図」を作成します。
加工帳には各部材ごとの長さや曲げ寸法、数など詳細が記載され、現場の作業指示に不可欠な資料です。この段階では設計者、施工管理者、鉄筋業者の連携が不可欠です。
この仕事を担当するためには現場業務を完璧に理解している必要があります。
よって、新人の頃から加工帳・施工図を作成することは多くないでしょう。ただ現場で経験を積んでいけば、この様な仕事を担当することもあります。
鉄筋の搬入
施工するのに必要な鉄筋を現場に搬入します。
工場や資材センターから鉄筋を現場に搬入する訳ですが、この時にゼネコンの担当者やガードマンと打合せが必要です。「いつ頃どれくらいの量(トラック)がくるのか?」といった部分を明確にしてコミュニケーションを取っていく必要があります。
また、現場によっては資材を置くスペースが潤沢でない場合があります。そこであらかじめ、搬入した鉄筋をどこに置くのか?といった資材置き場を確保しておく必要も出てきます。この辺に関しては他の職種(鳶職・型枠大工)などと打ち合わせする必要があります。
鉄筋の搬入はトラックを使うのが一般的で、クレーンなどを用いて現場内に配置します。
関連記事:鳶職(とび職)とは?仕事内容からリアル年収まで足場会社が徹底解説
配筋の加工・段取り
鉄筋を搬入したら配筋作業をしていきたい訳ですが、配筋作業をするための加工や段取りを進めていきます。
使用する場所(スパンや階別等)ごとに分け、作業効率を高めます。位置確認や数量チェックを怠ると施工ミスの原因になるため、細かな確認作業が行われます。また、必要なスペーサー類の準備もこの段階で行います。
この段取りを指揮するのが現場における職長です。段取りを上手にできるかできないかで作業スピードが全くと言っていいほど変わってきます。
もし新人の鉄筋工として現場に入った場合は先輩の段取りを見て学びましょう。
配筋工事
段取りが整った鉄筋を、施工図に基づいて現場で組み立て(配筋)していきます。
主筋、帯筋、補強筋など種類ごとに定められた配置・間隔・重ね長さなどを守り、鉄筋同士は「結束線(番線)」で堅固に結束します。配筋の正確さが建物の強度に直結するため、経験と技術が要求されます。
ちなみに、建設現場では基本的にミリ単位で仕事をします。「ちょっとだけズレてしまった」は許されません。施工図の通りに正確な施工が必要です。
篏合(かんごう)
複数の鉄筋を複雑に組み合わせる部分や、構造的に重要な接合部では「篏合(かんごう)」と呼ばれる作業を行います。
これは鉄筋同士の重なりや差し込みを施工図通りに正確に行うことを指し、継手部分や交差部での誤差がないよう慎重に作業します。
施工図と現場の照合
配筋作業が終了した段階で、再度施工図と現場の鉄筋配置が一致しているか確認します。
ミスや誤差があれば直ちに是正し、次の工程へ進むために必要な確認作業です。構造躯体の安全性確保のため、ダブルチェックや写真記録が行われることもあります。実際に職人側としてもチェックしますし、施工管理の人も必ずチェックします。
配筋検査
最後に、設計図通りに配筋がなされているか、配筋検査が行われます。
発注者や設計事務所、監理者、公的機関など第三者機関も加わり、鉄筋のピッチ・重ね長さ・定着・結束状況など多数の検査項目で厳しく確認されます。
鉄筋工が使う道具
次に鉄筋工が使う工具について紹介していきます。
どんな工具を使うのか?といった知識を通じて、鉄筋工の仕事内容に対して理解を深めていただければと思います。
ハッカー(鉄筋結束工具)

ハッカーは鉄筋工事において頻繁に使用されます。
写真の通り鉄筋は縦横に組んでそれぞれを「番線」と呼ばれるもので結束していきます。番線で結束することで鉄筋同士が接続され、強度を発揮します。ハッカーは番線を結束するための工具です。
結束作業が配筋作業において非常に多くのボリュームを締めるので、鉄筋工の方はハッカーを頻繁に使用しますので最初に紹介させていただきました。
番線カッター

番線カッターは番線を切るための工具です。
そもそも番線はある程度長めのものを使うので、結束した後に必要ない部分はカットしていきます。これも結束と同様によく発生する仕事なので、鉄筋工は番線カッターをよく使います。
鉄筋カッター

鉄筋カッターは鉄筋の加工業務において使用します。
鉄筋は定尺(ある程度の規定の長さ)で現場に入ってくるので、現場で必要な長さにカットします。鉄筋を切るのにも専用工具を使います。
鉄筋ベンダー

鉄筋の場所によっては、鉄筋を曲げる必要が出てきます。鉄筋を曲げるために鉄筋ベンダーと呼ばれる工具を使います。
実際に鉄筋に触れてみると分かると思うのですが、鉄筋を人力で曲げるのは不可能です。また施工図と同じように組んでいく必要があるので、鉄筋を曲げるのにも正確性が必要になってきます。
スペーサー

鉄筋はコンクリート内部に埋め込まれる訳ですが、コントクリート表面からの距離が大事だったりします。簡単に説明すると、水が浸入して鉄が錆びないようにするためです。
そのために鉄筋にスペーサーを取り付けることで、コンクリート表面からの適切な距離を確保します。
現場ではその形状から「ドーナツ」と呼ばれることもあります。
その他
その他にも鉄筋工は様々な道具を使います。代表例を下の表で簡単にご紹介します。
道具名 | 用途・特長 |
---|---|
スケール | スケールは、鉄筋の長さや間隔、現場寸法を測定するための巻尺です。精度を保つためにステンレス製やロック機能付きのものなどが多用されます。 |
立ち馬 | 立ち馬とは、鉄筋工事の際に高所作業を安全に行うための小型の足場台です。折りたたみ式が多く、必要な高さに調整して使用します。 |
マーキングチョーク | マーキングチョークは、鉄筋や型枠に印を付けるための粉状のチョークです。寸法や位置を明確に記すことでミスを防ぎ、効率的な作業を可能にします。 |
安全帯 | 安全帯は、高所や不安定な場所での作業時に落下事故を防止するために使用します。法的にも着用が義務付けられており、現在はフルハーネス型安全帯の使用が拡がっています。 |
鉄筋工の仕事をする上できついところ

体力的な負担がある
体力的な負担があるのが鉄筋工の仕事をする上できついところです。
鉄筋は1本あたり20kg以上になる場合もあり、それらを現場内で運ぶこともしばしばあります。また番線で鉄筋同士を結束する作業のときはしゃがんでの仕事になるので、体勢的につらいことがあります。
長尺物を使うので集中力が必要
鉄筋は長尺物であり、現場での取り回しや配筋作業には丁寧かつ正確な動作が求められます。
僅かなミスが構造体の強度や安全に影響するため、高い集中力を保ちながら仕事を続ける必要があります。また、重い資材を扱いながら作業するため、周囲の安全確認にも常に気を配らなければなりません。
高所作業の不安
ビルやマンションなど複数階建て建物の工事では、足場や高所での鉄筋組立作業も発生します。
高所での作業は転落や落下物といった危険が伴い、初心者は特に恐怖を感じることが少なくありません。転落事故防止のためフルハーネス型安全帯の着用や、厳格な安全確認が徹底されていますが、それでも高所での作業は精神的なストレスとなることがあります。
足元が不安定
工事現場は未完成の床や組み上げ途中の鉄筋の上など、足元が不安定な状況が多いのも鉄筋工の特徴です。
バランス感覚が求められるほか、気を抜くと足を滑らせたり転倒する危険がつきまといます。特に雨天や雪の日などはさらに足元が滑りやすくなり、より一層の注意が必要です。
天候の影響がある
鉄筋工の作業は屋外作業が大半を占めるため、天候の影響を大きく受けます。
夏場は猛暑、冬場は寒さや雪、梅雨時は長雨で工事が中断・遅延することもよくあります。真夏の炎天下での作業や、真冬の冷たい現場での作業は体力だけでなく精神的にもきつさを感じます。
他業者との連携が必要でイレギュラーが発生する
現場は鉄筋工だけでなく、型枠工や大工、コンクリート業者など多くの職種が入り混じって進んでいきます。
そのため自社の作業だけ進めればよいということはなく、スケジュール調整や作業場所の共有など、他業者との綿密な連携が常に必要です。不測の事態やスケジュールの遅れ、仕様変更などの「イレギュラー」も頻繁に発生し、臨機応変な対応力が求められます。
専門知識を覚えていくところ
鉄筋工は建築や構造に関する知識、安全基準、図面の読み取り、鉄筋の種別や加工・組立手順など専門知識が多数必要です。
未経験から始める場合、これらを1から学ぶ必要があり、覚えることが多く最初は苦労します。経験を積むほど知識も技術も向上しますが、キャリアの初期段階は苦労を感じる方が多いです。
鉄筋工の仕事をする上できついポイントまとめ
主なきついポイント | 具体例・影響 |
---|---|
体力的負担 | 重い鉄筋や機材の運搬で筋肉疲労や腰痛リスクが高い |
長尺材を扱う集中力 | 取り回しミスは重大事故につながるため終始注意が必要 |
高所作業の心理的負担 | 足場や建物の上など高所での作業が多く、恐怖や緊張が続く |
足元の不安定さ | 未完成の床や鉄筋の上を歩くため転倒リスクが高まる |
天候の影響 | 雨や雪、暑さ寒さで作業環境が急変し体力消耗が大きい |
他業者との調整 | スケジュール変更や連携ミスによるイレギュラー対応が求められる |
専門知識の必要性 | 安全・構造・施工に関する幅広い知識習得が不可欠 |
鉄筋工に向いている人
専門性を身に着けてキャリアアップしたい人
鉄筋工の仕事は、現場での実践経験や資格取得を通じて専門性を高めていく職業です。
現場で必要な知識や技術が多く、長く働くことでスキルアップし、現場管理者や施工管理者、独立開業などを目指すこともできます。自分の専門性を高めて収入アップや地位の向上を目指したい方に向いています。
体を動かすのが好きな人
鉄筋工の仕事は体力仕事が中心です。鉄筋の運搬や加工、組み立てなど、1日を通して多くの体力を使います。スポーツ経験があり、屋外や現場で体を動かすのが好きな方には向いています。
チームワークができる人
鉄筋工事は複数人で行うため、チームワークが重要です。一緒に働く人たちと協力し合いながら作業を進める力やコミュニケーション力が求められます。他業種との連携も多いため、協調性も重要です。
現場では鉄筋チーム内で不和が起こることもありますし、他業種とのトラブルも定期的に発生したりします。その中でも工期内に工事を終わらせなければならないので、チームワークが必要です。
几帳面で正確な仕事ができる人
鉄筋は設計通りに正確に配置する必要があります。少しのズレも建物の強度や安全性に直結するため、細かい作業や確認を怠らず、几帳面に仕事を進められる人が向いています。
屋外作業に抵抗がない人
鉄筋工は建設現場での屋外作業がメインとなるため、夏の暑さや冬の寒さ、雨風などの気候にも耐えられる人が求められます。天候によっては作業が変更になるなど柔軟に対応できる姿勢も大切です。
適切な恐怖心を持てる人
現場では高所作業があります。安全第一に作業を進めるために、危険を避けるための適度な緊張感や恐怖心を持ち、安全意識を高く保つことができる人が求められます。
以下の動画(TikTok)では、エルラインのベテラン職人にインタビューを行っており、高所作業について語っています。動画は鳶職について語っていますが「高所作業」という観点においては一緒です。是非参考にしてみてください。
@lline_official 高所恐怖症でも足場できる? #足場とび #足場鳶職 #足場職人募集中 ♬ オリジナル楽曲 – エルライン – 足場ブラザーズ
向上心がある人
建設現場は日々進化しており、新しい技術や施工方法、資格などを学んでいく必要があります。自分の成長やキャリアアップのために積極的に学び続けられる人が鉄筋工に向いています。
鉄筋工に向いている人の特徴まとめ
特徴 | 詳細 |
---|---|
専門性を磨く意欲 | 資格取得や現場経験を通じてスキルアップしたい方 |
体力 | 屋外での作業や重量物の取り扱いに耐えられる方 |
チームワーク | 複数人で連携しながら仕事を進められる方 |
几帳面さ | 正確で緻密な作業を行えること |
屋外作業への適応力 | 気候や天候にも順応できる方 |
安全意識 | リスクをしっかり認識し、安全管理に注力できる方 |
向上心 | 技術や知識の習得に積極的な方 |
鉄筋工の給与・年収は?

鉄筋工は、最初は覚えなければならないことが多かったり、体力的に厳しい部分もありますが、経験を積んでいくことで安定的にお金を稼いでいける仕事です。
どのキャリアを選択するのか、働く地域、企業規模、取得資格の有無などにより幅があるというのは前提ですが、経験を積むことで大きくお金を稼いでいくことができます。
今回は経験年数別に年収・月収について説明をしていきます。
未経験者(0年~3年)
最初は先輩職人の補助作業から初めて仕事をしていきます。最初は専門用語が多く、難しいところもあると思いますが、3年ほど経験を積むと業務に慣れることができます。
筆者も現場経験者ですが、先輩から「1年目~3年目は現場に張り付いているだけで良い」と言われたことがあります。
建設業界で働くと聞いたことのない専門用語が多いです。この記事に専門用語や工事の進め方、どんなイレギュラーが起こるのか?といった部分について学んでいきます。
年収の目安
・月収の目安:約22万円~30万円
・年収の目安:約300万円~400万円
スタートの給料は低めですが、経験を積み、信用を勝ち取ることで給料もあげていくことができます。
中堅社員(3年~10年目)
経験を積んでいくと、自分ができる仕事の種類が増え、より責任のある仕事を任されるようになります。
後輩に対する育成や他業者との折衝、ゼネコン担当者とのやり取りやメーカーとのやり取りも増えていきます。徐々に図面を読めるようになったりすることで、責任のある仕事を任されるようになっていきます。
資格を取得することで業務範囲を増やしたり、資格を取ることで鉄筋工としての技術の高さを証明することができ、昇給を見込むことができます。
年収の目安
・月収の目安:28万円~38万円
・年収の目安:380万円~500万円
筆者も現場経験が4年ほどありますが、現場経験が3年を過ぎると多くの知識がつき、現場での仕事がどんどん面白くなっていく時期です。
職長・経営層・独立(10年目~)
経験年数が10年を超えると、より責任のある仕事を任されるようになります。
職長として現場全体のマネージメントをすることもできます。また、会社の経営層として、現場だけでなく経営をコントロールする仕事に就くことも可能です。経営手腕にもよりますが、経営層として成功をおさめると年収1000万円を超えることも可能になってきます。
一人親方として独立したり、自分のオーナー会社を立ち上げるのも手です。自分自身で会社を立ち上げ、その会社を大手企業に売却することも選択肢としてはあります。
年収の目安
・月収の目安:35万円~45万円
・年収の目安:450万円~600万円以上
ここまでくると自分にできる仕事の範囲がかなり広がっています。自分自身の適正を見て、合った仕事を選びましょう。
鉄筋工の資格
建設業界は資格を重要視する業界です。他の業界と比較すると「資格を持っていないとできない仕事」が多いです。
よって、実務経験と資格取得を両軸で進めることにより、キャリアアップして給料を伸ばしていくことができます。ここでは、鉄筋工として働くうえで取得しておきたい主要な資格について詳しく解説します。
資格名 | 概要 | 主な受験要件 |
---|---|---|
1級鉄筋施工技能士 | 建築・土木の鉄筋工事に関する技能を検定する国家資格の上級(熟練者)レベルです。現場のリーダーとして活躍できる証明になります。 | 実務経験7年以上または2級合格後2年以上 |
2級鉄筋施工技能士 | 鉄筋工事における基礎的な知識・技能を問う国家資格。若手や未経験から現場で役立つスキルを身につけたい方におすすめです。 | 実務経験2年以上または所定の訓練校修了など |
登録鉄筋基幹技能者 | 鉄筋の現場で作業とマネジメントを担うリーダー的資格。高度な技能だけでなくスタッフの指導・育成も担当します。 | 1級鉄筋施工技能士など実務経験が必要 |
玉掛け技能講習 | クレーン等で鉄筋材を吊る際に必要な安全技術を習得する講習資格。鉄筋工にとって実務で必須の技能といえます。 | 満18歳以上(学歴・経験不問) |
職長・安全衛生責任者教育 | 作業現場の安全管理・指導力を身につけるための教育。現場のリーダーや監督者になる際には必修となっています。 | 満18歳以上、現場のリーダーに選任される予定者等 |
フルハーネス特別教育 | 高所作業時の墜落防止器具(フルハーネス型安全帯)の安全な使用のために定められている法定講習です。2019年より法令で義務化。 | 満18歳以上、高所作業の従事者 |
1級鉄筋施工技能士
1級鉄筋施工技能士は、鉄筋工事の技能者が受験できる国家検定の中でも最上位の資格です。
高度な施工技能に加え、工程管理や人材育成など現場のリーダーに求められる能力も身に付きます。取得することで技術だけでなく、給与・ポジション面でも優遇されるケースが多く、キャリアアップをめざす方には必須となる資格です
2級鉄筋施工技能士
2級鉄筋施工技能士は、鉄筋工事の基礎的技能を認定する国家資格で、未経験や若年層でも挑戦しやすい資格です。
現場で働きながら経験を積み、より専門的な仕事へステップアップしていくための第一歩となります。資格取得によって現場で信頼を得やすくなり、今後のキャリア形成に役立ちます。
登録鉄筋基幹技能者
登録鉄筋基幹技能者は、長年の経験と高い技能を持った鉄筋工が、現場の作業管理やスタッフ育成のリーダーとして認定される制度です。
1級鉄筋施工技能士などの取得後、一定の実務経験が必要とされています。「ものづくりマイスター」の一歩手前であり、より難易度が高い資格とも言えます。
玉掛け技能講習
玉掛け技能講習は、クレーンなどで重量物を吊り上げる作業を安全に行うための法定講習です。
鉄筋を作業場所(例えば7階)まで運ぶために、タワークレーンを使ったりします。玉掛けの技能講習を受講することで吊り上げ作業に従事することができます。鉄筋工は玉掛け資格が必要となる場面が多いので、鉄筋工の現場では必須ともいえる資格となっています。
職長・安全衛生責任者教育
職長・安全衛生責任者教育は、労働安全衛生法に基づき、現場のリーダーや監督者として作業員の安全確保・指導を行うために必要な法定教育です。
元請け業者や協力会社の現場責任者に選任される前提となる教育のため、キャリアの中で必ず取得を求められます。
ちなみに、大成鉄筋工業株式会社では、エルライン独自のLLINEアカデミーという教育プラットフォームを通じて職長・安全衛生責任者教育の資格を取得することができます。
興味がある方は是非お問い合わせください。
フルハーネス特別教育
フルハーネス特別教育は、高所作業の安全対策として法令で義務化された特別教育です。
墜落防止器具「フルハーネス型安全帯」の正しい使い方や点検方法を学ぶことができ、2019年2月から作業従事者全員の受講が必須となりました。こちらの講義もLLINEアカデミーを通じて受講することができます。
鉄筋工のやりがいと魅力

人の安全を守る仕事に誇りを持てる
鉄筋工は、ビルやマンション、橋梁など重要な構造物の骨組みをつくるプロフェッショナルです。
コンクリート内部に組み込まれる鉄筋が、建物全体の強度や耐久性を支えるため、人々の安全や命を守っているという誇りを感じられる仕事です。そのため自分の仕事が社会の基盤になっている実感が得られます。
特に施工した建物を利用者が使っているのを見ると、自分の仕事が人の役に立っている実感があります。
チームで協力して仕事を進めることができる
鉄筋工事は1人では完結せず、複数名で連携しながら工程ごとに役割を分担して進めます。
仲間同士で声を掛け合い、安全に注意しながら息を合わせて大きな現場を造り上げていく過程にはチームワークならではの達成感と一体感があります。
技術を磨くことでキャリアアップできる
鉄筋工は専門性が要求される仕事であり、経験や資格を積むことで業務の幅が広がったり、現場をまとめるリーダーとなるチャンスがあります。
1級鉄筋施工技能士などの国家資格を取得すれば、将来的に独立や管理職も目指せるなど、手に職をつけて長期的なキャリア形成が可能です。
自分の現場に貢献することができる達成感
建築現場では日々進捗があり、自分たちの手で鉄筋を組み立て、完成へと向かっていく様子を見ることができます。
特に大型案件やランドマークとなる施設に携わった際は、完成後も街の中で自身の仕事の成果を目にすることができ、大きな誇りと達成感を得られます。
人としても成長していくことができる
鉄筋工事は安全・迅速・正確な作業が求められるため、現場での経験を通して責任感や忍耐力、コミュニケーション能力も磨かれます。
現場でトラブルやイレギュラーが発生した際にも、臨機応変な対応力や問題解決力など人間的な成長を感じることができるでしょう。現場が始まる前の自分と現場が終わった時の自分を比較したときに、大きく成長を感じることができます。
安定して長く働くことができる
建設業界は一定の需要が継続するため、鉄筋工の仕事は景気の影響を受けにくく安定して働く環境が特徴です。
技術を身に付ければ年齢を重ねても活躍しやすく、産業基盤を支えるインフラ事業として長期的な雇用ニーズがあります。
ランドマークになるような建物の建築に携われる
鉄筋工は、大型商業施設や学校、公共施設、高層ビルなど、都市や地域に長く残るランドマークの建設現場にも関わることができます。自分が携わった建物が街のシンボルとなるため、家族や知人にも自慢できる仕事です。
鉄筋工に向いている人のチェックリスト
以下の項目に当てはまる人は、鉄筋工として活躍できる可能性が高いです!
・体を動かしたい
・細かな作業が得意、几帳面
・高所作業や屋外作業に抵抗がない
・チームで協力することが好き
・建築やモノづくりに興味がある
・安全意識が高い
・ルールやマナーを守れる
もし3つ以上当てはまるなら、鉄筋工に向いてる可能性大です!
鉄筋工になるための具体的なステップ
ステップ1:未経験OKの企業に就職する
・鉄筋工を募集している建設会社は未経験歓迎の会社も多いです
・まずは求人サイトや会社のホームページなどで情報を集めましょう
ステップ2:実務経験を積んで専門性を身に着ける
・現場で先輩社員の元で働きながら仕事に必要な知識を身に着けていきます
・3年ほど現場経験を積めば、かなり専門性が高い人材になれます
ステップ3:資格を取得してキャリアアップする
・特別教育や国家資格を受験することで給料アップを実現する可能性が高まります
・実務経験と資格があれば、職長や独立、経営層などのキャリアを切り開くことができます
鉄筋工の将来性と今後の展望
建設業界は今後も需要が高い業界なので、鉄筋工には将来性があります。
都心などを見ると大量の建物が立っていますが、建物には「耐用年数」という概念があります。すごくざっくりとした説明をすると、建物は作ってから50年ほど建ったら寿命を迎えてしまいます。そこで、建物を解体して、新たに建物を作るという需要が生まれます。
建築工事も土木工事も社会のインフラを支える大事な仕事であり、今後も需要が継続する業界の一つと言えるでしょう。
また、今後は建設業界のデジタル化が進んでいきます。
現状でもIT技術の開発は進められていますが、現場での実運用がされてない技術はたくさんあります。これからはIT技術と現場の両方がこなせる「パープル人材」の需要も高まっていくでしょう。
記事全体のポイント
・鉄筋工は建設業界に必須の仕事であり、未経験からでもチャレンジできる
・経験を積むことで、高収入・独立・経営層へのキャリアアップが可能
・現場経験だけでなく資格取得も同時に進めることで業務範囲を広げることができる
・将来性が高い仕事であり、今後も継続して稼いでいける職業
鉄筋工は自分の専門性も磨けますし、社会のインフラに寄与できる仕事です。
興味がある方は、まずは先輩社員の補助仕事からスタートし、実際の現場で経験を積んでいきましょう。
さいごに
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
鉄筋工は体力的に厳しいイメージもありますが、一方で専門性を磨いてキャリアアップしていける仕事です。
この記事を通じて、一人でも鉄筋工に興味を持っていただける方がいたら嬉しいです。
「鉄筋工の仕事に興味があるけど、一歩を踏み出すのが不安」という方は、一度大成鉄筋工業株式会社の鉄筋工での働き方について、直接話を聞いてみませんか?
もし、少しでも興味のある方は、こちらからお気軽にお問合せください。
まだ「鉄筋工になるかも決めてない」「少しだけ業務内容を具体的に知りたい」という方でも、まったく問題ありません。
お待ちしております。
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